脱出 110 ページ13
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貴『お久しぶりです』
藤「一年ぶりか…懐かしいな。隣の君は…花宮君だったかな?」
花「先生、お久しぶりです」
あっ、人前だから猫被ってる。
そこんとこ口出しはしない。
藤「Aも誰かの墓参り?」
貴『はい、早瀬さんの墓参りです』
藤「悠也の?Aって悠也と知り合いだったのか!」
貴『…はい。だから早瀬さんの好物の蜜柑持って来たんです』
袋に入れられた蜜柑を掲げて藤森先生に見せると、先生はふわりと笑った。
藤「俺も。月一で悠也の墓参りに行っていつも蜜柑を供えるんだ」
先生も持っていた蜜柑が入った袋を掲げて私に笑った。
そして私達は三人で早瀬さんのお墓を訪ねた。
そして先生がいつもやってるらしく、お墓の掃除をしてから線香をあけでお供えものを置いた。
掃除中、私が行方不明になったことをニュースで知って驚いたと先生が言ってた。
でもこうやって会えてよかったって言ってもらえて私は嬉しくなった。
貴『先生、私早瀬さんから伝言を預かってます』
藤森先生は少し驚いた顔で私を見た。
貴『「先生に出会えてよかった。ありがとう」それが早瀬さんから先生への伝言です』
すると先生は目にうっすら涙を浮かべた。
それから先生は仕事があるからと帰っていったので、私はもう一度手を合わせた。
ちゃんと伝えましたからね…。
花「次行くぞ」
貴『うん!』
一歩踏み出した時、風が吹き抜けた。
その風がなんだかありがとうって言ってるように思えた。
そんなわけないのにね。
それより…
貴『…真、怒ってる?』
なぜか強い力で私の手首を握り引っ張る真。
花「お前が怒ってるって思うならそらは怒ってんだろうな」
貴『何それ』
とりあえず怒ってるのは分かった。
じゃあ、何に怒ってるんだろ?
貴『ヤキモチ…』
花「別にヤキモチじゃねぇよ!バァカ!」
なぜか大きな声で怒鳴られる。
なんて理不尽な…。
でもこれで分かったかも。
貴『私、真が好きだし、ヤキモチ妬かなくても大丈夫だよ?』
ピタッといきなり止まり、手首を握る力を弱めた真。
私はその手からスルリと抜け出し、真の手を握った。
世間でよく言う恋人繋ぎで。
花「…絶対離してやんねぇから後悔すんなよ?」
貴『じゃあ、真もいつも私の隣にいてね』
弘人君のお墓訪ねたらまずは真のことを紹介しよう。
そんなことを思いながら私達は手を繋ぎ合ったまま次へと向かった。
(完)
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サイガ(プロフ) - しょうどうぶつさん» コメントありがとうございます!いい話って言ってもらえて励みになりますね!ありがとうございます!!(^^) (2018年8月27日 6時) (レス) id: 19e5edb018 (このIDを非表示/違反報告)
しょうどうぶつ - ホラー怖いけどすげーいい話で涙が....( ; ー ; ) (2018年8月27日 0時) (レス) id: 4dcfc1ef4e (このIDを非表示/違反報告)
サイガ(プロフ) - 結愛さん» ありがとうございます!中身が福山さんって考えてください笑笑興奮します笑笑 (2018年1月19日 20時) (レス) id: 19e5edb018 (このIDを非表示/違反報告)
結愛 - え、感動です!!!!本当に!なんか花宮今まででちょっと苦手だったんですけどこの小説を読んで好きになりました!! (2018年1月18日 20時) (レス) id: 1370f18119 (このIDを非表示/違反報告)
サイガ(プロフ) - 俺ツボサァンさん» 泣いてくれて良かったです!^ ^読んでいただきありがとうございます! (2017年2月15日 7時) (レス) id: 19e5edb018 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サイガ | 作成日時:2014年4月29日 13時