脱出ゲーム【迷宮病院】

脱出 37 ページ40

.



.



大「…すまない」


大坪さんは辛そうな顔をして二人を連れて手術部屋から出た。


黄「絶対に助けに戻るッス！それまで待ってるッスよ！」


葉「氷雨ちゃんなら大丈夫だって！ホラ、さっさと運ぶよ！」


伊「Aちゃん、ごめん！」


若「必ず行くから待ってろ！」


黛「勝手にくたばらないようにな」


それぞれ言葉を残してみんな緑間君達を支えながら出ていった。




＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊



しんと静かな空間に私一人。
大丈夫だと思ってたけど今になって怖くなってきた。


男「さて、何して遊ぶ？」


そういえば一人じゃなかった。
相手は幽霊だけど。
男の子は楽しそうにパタパタと部屋の中を駆け回ると手術台へ飛び乗った。
私は壁にもたれて座り込んだ。


貴『まずは君の名前を教えてくれる？』


男「それは出来ない！ルールだから！」


ルール？
幽霊にもルールがあるのかな？
名前を教えないルールなんて可笑しな話だけど…。


貴『じゃあ、この病院から出る方法もルール上教えてもらえないの？』


男「それは教えるよ！この病院には僕みたいに未練がある幽霊がいるんだ！何人かは僕は知らないけどね！」

私達は幽霊を成仏させるために、このわけのわからない病院に連れてこられたのだろうか？



とりあえず話を最後まで、聞けばどこかに未練を残してる幽霊達のカルテがあるらしく、そのカルテをヒントに成仏させるといいって男の子は言った。カルテを見ただけでその人の未練が分かるとは思えないけど。


貴『成仏させてほしいならあの化け物をどうにか出来ない？』


男「それは僕もどうにかしてほしいよ！僕にも襲ってくるんだもん！全部お兄ちゃんが決めたルールだし、お姉ちゃん達がここに連れてこられたのもお兄ちゃんが決めたんだよ！」


貴『お兄ちゃんって誰？』


男「名前の知らない首謀者のお兄ちゃん！僕と同じように死んでるんだって！」


頭がついていけない…。
つまり私達は幽霊によってここへ連れてこられたのか。
複雑過ぎてわからなくなっていきそうだ。
てか、この子の見た目と言葉のギャップが…。
首謀者って言葉を知ってるんだ。
イマドキの小学生は頭がいいんだね。そもそもこの子は小学生なのか？


貴『私達をここに連れてきた理由は、その首謀者のお兄ちゃんしか知らないの？』


すると男の子は元気な笑顔で頷いた。

脱出 38→←脱出 36

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す