脱出 20 ページ23
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薬品を段ボールに積め終わって、次の部屋に入る。
そこにはシーツや毛布があった。
貴『少し寒かったし、毛布があると嬉しいよね?』
隣で一緒に作業していた桜井君に声をかける。
桜「そ、そうですね…」
これも使える、とのことで段ボールに積めた。
黄「先輩!ここに点滴の時使うやつあるッスよ!」
奥の方から黄瀬君が言う。
点滴スタンドのことだろうか?
そういえば、青峰君が点滴スタンドで化け物を倒したんだっけ?
福「それ、使えんだろ。数本担いで行くか」
笠「だな」
こうして、薬品が入った段ボールを私が、毛布を黄瀬君と笠松さん、点滴スタンドを両手に一本づつ福井さんと桜井君が持つことになった。
笠「じゃあ戻るぞ」
笠松さんの一言で私達は倉庫から出た。
部屋を出てすぐに会議室に戻るために階段へと向かう。
化け物に遭遇しなくて良かったと安心しているとフラグが立つようなことが起こってしまった。
前方からペタペタと素足で歩く音がした。
この音、学校で追いかけてきていた不審者が近づいてきた時にも聞いたあの音だ。
貴『…来る』
笠「?」
思い出し怖さのあまり後ずさりしてしまう。
足音だけでまだ正体は見えてないのに恐怖心が私を支配していく。
身体はカタカタと震えてきた。
黄「氷雨さん、顔真っ青ッスよ?」
ポンと肩に手を置かれて変に肩を震わせる。
手を置いたのは福井さんだった。
福「…化け物だろ。あれが言ってたやつか…」
桜「はい…こっちに来てます」
桜井君と福井さんはもう気づいたようで、前方を凝視していた。
次第に化け物の姿が見えてきた。
看護師っぽい服装で、頭の一部が割れて中身が見えていた。
直接見てしまって気持ち悪くなり目を強く閉じる。
本当にグロテスクだ…。
このまま見ていたら脳裏に焼き付きそうだ。
笠「…引き返すぞ。福井、先に行ってくれ」
福「おう。チビ、俺の隣来い」
福井さんに促されて隣に立つ。
怖くても普通に歩けたことに驚きは隠せなかった。
福「心配すんな、いざとなれば俺がこいつで応戦するから」
そう言って福井さんが持っていた点滴スタンドを掲げる。
青峰君に引き続きカッコいい人なんだな…。
福井さんを先頭に化け物から距離を取るため早歩きで進む。
後ろでは笠松さんが化け物が追ってきてないかの確認をしていた。
ところが…
福「マジかよ…」
前の方からも白衣の化け物が現れた。
私達は化け物に挟まれたのだ。
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レイナ(プロフ) - 花宮落ちが良いなと思います。 勝手ですみません(´×ω×`) (2015年7月27日 4時) (レス) id: 88a6ecb96b (このIDを非表示/違反報告)
サイガ(プロフ) - 静狐さん» えっ!? (2015年7月3日 19時) (レス) id: 68af667ea3 (このIDを非表示/違反報告)
静狐 - 今吉さんです! (2015年7月3日 16時) (レス) id: c3c93e9f8b (このIDを非表示/違反報告)
サイガ(プロフ) - 秋狸さん» ありがとうございます!頑張って更新しますね! (2015年2月16日 17時) (レス) id: 68af667ea3 (このIDを非表示/違反報告)
秋狸 - サイガさんの脱出シリーズ待ってました!怖いけど楽しく読んでます!これからも頑張ってください! (2015年2月16日 16時) (レス) id: b6fc68a439 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サイガ | 作成日時:2014年3月11日 13時