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「ただいまぁ」
とか叫びつつ靴を脱ぎ捨てて、服を洗濯機にぶち込んでラフテーともずくにこいつやばいわ……みたいな目で見られながら宗に回収されるのが、外でご飯を食べてきたときのパターン。
気付いたら布団まで被せられて上にもずくが乗ってたりする。
「A、ピアス外しとけよ」
「……てかどこにもういっこ開けたかわかったの?」
ラフテーともずくにご飯をあげおわったらしく、保存容器を片付けて、私が寝っ転がっているソファの方へ歩いてくる。
「ここでしょ、鎖骨。バーベル透けてるよ」
「……それ、早く言ってくれると嬉しかったんだけど」
そう言いながら体を起こすと、宗がとなりの空いたスペースに腰を下ろす。
「Aのこと狙ってる男は気付いてるんじゃない? 男なんて大抵、女の胸元ガン見してるんだし」
自分の性別もその男だということを、こいつは忘れているんだろうか。別にいちいち細かく目くじら立てるつもりもないので、そこについてはスルーしておく。
「こんな裏表ある女狙う男なんて宗以外に知らないんだけど」
「多分Aのことダイスキな男多いよ。外面はいい子ちゃんだし」
「……それ以上言われると人間不信になりそうだからやめてよ」
そう言うと、ごめんごめんと笑いながら、三ヶ月前に開けて、やっと安定したピアスを撫でられる。
「俺はちゃんと好きだよ、俺のことは信じて」
「なにそれ」
どんどん増えていくピアスも、誤魔化すための長い髪も、関係なく好きでいてくれるなら、そばにいてもいいよ、って言ったことを忘れないでくれているらしく、その気持ちを表すみたいに私を撫でる手はいつも優しい。
「明日も仕事だ……」
「迎えに行ってあげよっか」
「んー、フィルの練習じゃないよ? 明日小学校で授業するの」
「最寄駅までなら迎えに行くけど、それもいらない?」
「……いる」
「じゃあ今日は早く寝るか」
ピアスを外すのも手伝ってもらって、いつもより一時間くらい早く、二人一緒に布団に入る。
そこらのカップルみたいな甘さはあんまりないけど、無理してまでそうはなりたくないから、今のままでいいかな。なんて思いながら、眠りに落ちた。
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らいむ@ - すごく好きです!更新楽しみにしてます! (2019年3月6日 16時) (レス) id: 6a02a5c532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:硝子体 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/glass/
作成日時:2019年1月7日 0時