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「……知り合いかも、今の」
珍しく、都合があったのでご飯でも行こう、ということで外に出たんだけれど、彼の知り合いとすれ違ったらしい。声をかけてこないあたり、気づかれてはいないらしいんだけど。よくわからない。
「ん、そういやまたピアス増やしたの?」
「うん、あててみて」
「オービタルとヘリックス」
「んー、惜しい。あとね、もう一箇所増やしたの」
「あー、わかったけど、答え合わせはあとでね」
今日は、襟が浅めの服だし、わからなくても仕方ないとは思うけど。そもそも、安定もしてないバーベルのままはわかりにくいし。
一度離れた指を絡め直して、目的地へ向かう。待ち合わせ場所から行くより、練習場所からの方が近かったりもするステーキハウス。肉食べたくない? のひとことで決定した。
いちおう、同棲はしてるものの、お互い忙しい。帰ってきたときに、ラフテーともずくが出迎えてくれるのが一番の癒し。お互い意識があれば一週間は生きていられる。
「やっぱり寒かった?」
「んー、全然」
雪国生まれだからこその寒さへの耐性なのか、私への気遣いなのかはわからないけど、寒空の下待たせてしまっても、恨み言ひとつ言わないでくれる。これで優しい言葉がある日は、やっぱりスパダリだと思う。
そんなことを、ステーキをナイフで切り分けながら考えてみたり。
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らいむ@ - すごく好きです!更新楽しみにしてます! (2019年3月6日 16時) (レス) id: 6a02a5c532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:硝子体 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/glass/
作成日時:2019年1月7日 0時