こんにちは、52。 (ページ15)

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『ただいま。』

「……、おかえり」

家に帰ると52は本を読んでいた。が、どことなくそわそわしていた。最近の違和感とはまた別の、そんな感じの違和感があった。

しかし、それに突っ込める時は今じゃない気がするしそんな勇気も私にはない。

それでこの心地良い関係が崩れたらどうしてくれよう。

『ふー、疲れた。すぐに夕飯仕度するわね』

「、ぁ……」

『？どうしたの52』

「い、いや。手伝う」

違う。
明らかに私になにか言いかけた。でもはぐらかされた。

やはり本人が言いたくなるまで待つのが吉かしら。

その後52から、言い淀んだ何かを言い出されることはなかった。

『……。52、私もう寝るわね。』

「、……ああ。」

また何か言葉を飲み込んだ返事だった。

二人で飲んでいたホットミルク。私のマグカップはすでに空だが、52はまだまだ残っていた。

私はマグカップをキッチンの流しに浸けて、机に向かって視線を落とす52の後ろを通った。

「っ！」

『……おやすみ』

ぽん、ぽん、と優しく頭を撫でた。

何を言いたいのか分からないけれど、できれば頼ってほしいと思うのは我が儘だろうか。

そんなことを口には出せないので、手のひらに乗せて。

彼に伝わりますように。

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『おはよう、52』

「………おはよう」

今日はなんだか体調が悪そう。目の下に隈もあるし顔色が悪い。

寝れないほどの悩みごとなのだろうか。

心配になって時間のあまりない中、味噌汁をつくった。朝に飲むと夜によく寝れるとおしゃべりなおばあさんが言っていた。

不安を残しながら今日も仕事へ出かけた。

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『えっ、外回りですか。』

「申し訳ない！ちょっとこっちがごたついてて、本当は俺の担当なんだが行ってくれると助かる……」

デスクの上にはまとまらない資料の山。その山の間にいる上司は申し訳なさそうに言った。

「頼む……時間も時間だし、そのまま直帰してくれて構わないから…」

『本当ですか』

「本当本当！もうマジでマジの本当！」

『うーん、わかりました。』

「ありがとううう！！本当に助かる！」

目の前で喜ぶ上司よりも、私の頭の中は「早く終わらせたら52に早く会えるのでは？」という考えで埋まっていた。