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あまりにも無防備ではないか。あいつはこんなに軽々しく男に合鍵を渡して。自分がどんどん駄目になりそうだ。


と言っても、鍵を貰えたのはありがたかった。これで自由に外出ができる。こっちの世界のこと、どうして俺がここに飛ばされたのか、どうやって帰るのか。


この家だけでは情報が少なすぎる。


家に置いて貰っているためある程度の家事は覚えて任せてもらっている。午前中に家事を終わらせお昼から少し外出しよう。


















今日はいい天気で、家の周辺を中心にぶらぶらしてみる。やはり大通りに出ると人は多い。

そのまま収穫はなく散歩を終えた。家に着いたら本を読もう。

















――――――ガチャ、

『ただいま』

「!、お帰り。」

ずっと本を読んでいたら、もうそんな時間か。

『52、これ!』

どうやらプレゼントらしい財布と金を渡された。無理矢理渡されてしまった。この金をどう使ったもんか。



















次の日もまた同じようにAは仕事に行った。俺も家事をして家を出る。プレゼントされた財布は、一応持っていくことにした。


近所の公園からは子供たちの賑やかな声がする。まだ4、5歳ぐらいの子供たちと大人が数人いた。




「せんせー!これあげる!!」

「わぁ、綺麗なお花ね、先生にくれるの?」

「おれ、せんせーのことだいすきだから!!」

「ありがとう!」




これは、思わぬヒントを貰った。花でもいいが、何かAにプレゼントを贈るのが貰った金のいい使い道ではないか?


そうと決まれば今日も大通りに向かう。


花屋は見当たらなかったので、とりあえず雑貨屋に入った。どれも可愛らしい。Aに何が似合うのだろう。



「いらっしゃいませ、彼女さんにですか?」

「っ、いえ、普段世話になってる人に」

「素敵ですね!良ければご相談に乗らせてください!」

「あ、ああ。では…………」







彼女。あいつが。俺の。







俺は恋愛なんてしたことなければ愛情なんて全くわからない。それでも、Aへと抱く気持ちが、元の世界で俺を助けてくれた家族に向けていたものと違うことは、なんとなく分かる。



何が違うのだろう。まさかこれが恋情なのだろうか。


なんとなくむずむずしたまま、雑貨屋でAに似合うだろうイヤリングと髪留めを買って家に帰ることにした。



落ち着いて本を読んだらこのざわめきも収まる気がして足を早めた。

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作者名:ばんぶー | 作成日時:2020年12月6日 4時

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