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歓迎会の次の日から、何処と無く52がおかしい気がする。

『おはよう、52』

「……おはよう」

『今日は朝、パンでいい?』

無言で頷く52。


少し前までこういう小さなことにも「ああ」とか「それでいい」とか返してくれていたのだが。


今まで自分の近くに居る他人の観察をし過ぎたせいか、細かなことが気になってしかたがない。


余所余所しい?それもなんか違う気もする。


違和感の正体は結局分からず、日曜日が過ぎてまた月曜日。


今日から1週間がまた始まる。


『今日も定時に上がる予定でいるわ。』

「わかった。」


会話はきちんとしてくれているから良いのだけれど。


『あ、』


そういえば、今更だけれども家の鍵がもうひとつあったはずだ。


その辺のキーホルダーをつけて無くしにくくして52に渡す。


「………なんだ。」

『この家の鍵よ。本買ったとは言え、体動かさないと夜もよく寝れないわよね。気づかなくてごめんなさい』

「……?」

『今まで別に禁止していたわけではないけど、鍵渡してなかったら家から出られないものね。だから。合鍵。これしかないから無くさないようにね』

「……、」


はい、と鍵を差し出すと少しためらいながらもおずおずと手を出してきた。


『私が仕事の間、お散歩とかしても大丈夫よ。戸締まりと火の元だけ確認お願いね。あと私が帰ってくるまでに帰ってきててね。』

「………わかった。」

『あ、やっぱり少しだけ今日帰り遅くなるわ。多分遅くても、いつもより一時間ぐらいかな。』

「ん。」



















『ふー、今日も疲れたーっ。』

仕事も無事に終えて、そのまま帰らず足はATMと雑貨店へ向かう。


そこでいくつか品物を見比べて黒色のものを手にとってレジを通り家路についた。



















『ただいま』

「!、おかえり」

『52、これ!』

私は紙袋と封筒を差し出した。
紙袋の中には黒色の財布、封筒にはお金が入っていた。

「!?」

『少しだけど、お小遣いとでも思って。外に出るのにお金無いのも不便でしょ?』

「いや、しかし…!!」

『私からのプレゼント。気に入らない?』

「そ、んなことは、ないが、……」


それでも納得しなさそうな52。

『なら、お小遣いってさっき言ったし、今までお手伝いとかしてくれた分ってことで。ね、』

「…………」


しぶしぶ、といった感じで頷いてくれた。これは、52あまりお金を使わないなと思った。

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作者名:ばんぶー | 作成日時:2020年12月6日 4時

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