愛は故郷にありました。 (ページ21)

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処置3 ページ21

和サイド

皮膚の縫合は確実にやり直さないとうまく治らない。
体内はどんな状態かと思って開けてみると、予想外の状態で驚いてしまった。

清水さんと視線が合い、はっとして気持ちを集中させる。

Aは今何を思っているだろうか。

「大丈夫か？」

目を閉じたままかすかにうなづいたのを確認した。
どんな気持ちだろうか。
医者とは言え幼馴染の俺と顔なじみの清水さんに今の状態を知られてしまった。
Aが島に戻ってきた理由が少しわかった気がした。

「オペ室準備できてるよね？」

清「はい。」

「全麻にして体内の状態もう少し詳しく見て場合によっては縫合もやり直そうかな。手洗いするのでAの準備お願いできる？」

清「わかりました。」

「ごめんね。こんな時間から付き合わせて。」

清「先生を必要としてる人がいるんです。じゃAさん、お部屋移動しますね。このままベッド動かすのでそのままで大丈夫ですよ。」

てきぱきといつもと同じように動いてくれるおかげで俺も気持ちを集中することができる。

「A、今から麻酔で寝てもらうけど起きたら痛みも楽になってるから心配しなくて良いよ。お腹の中ちゃんと診ておかないと傷の治るの時間かかったり感染したりするからさ。俺に任せておいたら大丈夫だから、な？」

A「和くん...」

涙声で名前を呼ばれた。
清水さんが気を利かせてくれたのかオペ室へ消えていった。

「ん？どうした？」

A「私...」」

何か言おうとしてるけど迷ってるみたいでそのあとが続かない。

「大丈夫、大丈夫だから。心配するな。島でゆっくりしたらまた元気になるよ。俺がいるだろ？」

A「和くん...」

涙で顔がぐちゃぐちゃになっているのでティッシュを手渡す。

「一人でよく頑張ったなA。」

手術の前に泣かせるのは良くないけれどAがどんな思いで東京で手術を受けたのか。
術後間もない時に一人で島に戻って来たのか。
とてつもない痛みに耐えていたのか。
それを思うと抱きしめてやりたくなる。

清「先生、オペ室いつでも使用できます。麻酔の準備もできたので手洗いお願いします。じゃAさんも準備に行きましょうか。」

Aのことはとりあえず清水さんに任せて手洗いへ。

何の疾患だったのだろうか。
いずれにしても落ち着いてからちゃんとAと話をして担当医からカルテ送ってもらわないと。