第189話「双黒と女王の日常」夢主 ページ47
「おい、クソ太宰。その人形寄越せ。」
「駄ー目。万一に備えて、私が預からせて貰うよ。…ねぇ、いろはもその方が良いよねぇ?」
「え、私ですか?…まぁ、そうですね。万一という事が有りますから…。」
Qをおぶって階段を上がっていく中也さんの後ろを、太宰さんが人形を抱えながら追いかけ、私は苦笑いしながら、そんなお二人についていく。
「あぁ糞、昔から手前は俺の指示を露程も聞きゃしねぇ!この包帯の付属品が!」
「あ、それは一寸酷いです、中也さん。」
「何だって?中也みたいな帽子置き場には云われたくないね。ねぇ、いろは?」
「太宰さんも酷いです!」
私は少し怒った口調で太宰さんからの問いかけに答える。
其れを聞いた中也さんは、勝ち誇ったように自慢げな顔になられ、それから「この貧弱野郎!」と太宰さんに叫んだ。
すると、太宰さんは少しむっとしたように「ちびっこマフィア。」と仰る。
それに対して、中也さんは「社会不適合者!」と、再び叫ぶ。
一方、「社会不適合者」と罵られた太宰さんは涼し気な顔で格好つけていた。
「その程度の悪口じゃそよ風ぐらいにしか感じないねぇ。寧ろ、いろはに叱られる方が傷つくよ。」
「ぐっ…!…手前が泣かせた女全員に今の住所教えるぞ。」
「ふん、そんなこと…__。…それはやめてくんないかな?」
「えっ、待ってください。そんなに沢山の女性の方を泣かせてるんですか?ちょっと失望しました…。」
私が少し太宰さんから距離を取ったことに気が付いた太宰さんは、少し涙目で一歩私に近寄り「厭、違うのだよいろは!」等と云っているが、私は更に距離を取る代わりに、中也さんを盾とすることにする。
「はっ…!ざまぁみやがれ、青鯖。」
「くっ…、蛞蝓の癖に!いろは〜〜、怖くないよ、出ておいで〜…。」
「ふん!太宰さんが女好きなのは知ってましたが、其処までとは思いもしませんでした!その汚らわしい手で二度と私に触れないで下さい!」
「いろは〜〜!違うのだよ、聞いてくれ!」
「い、や、で、す!言い訳は聞きたくありません!」
「いろはぁ〜〜!」
中也さんの辺りをくるくると回りながら太宰さんから逃げる私と必死そうに涙目で追いかける太宰さん、それを中也さんは勝ち誇ったように微笑みながら時々太宰さんの邪魔をする。
そんな日常の1コマは、私が太宰さんから逃げきろうと、小屋の扉を開いたことによって、次の瞬間には終わりを告げた。
「!?」
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時