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第190話「女王(?)と私。」夢主 ページ48

「!?」

私の首に巻き付いた、蛸の足のような其れ(・・)は、勢いよく私を持ち上げると宙へと放り出す。
私は異能をクッションの様に展開し、ダメージを最小限で抑えることに成功した…の、だが。

「…展開が、前よりも早い…?」

私が自分の両手を見詰めていたその時、バゴッと、凄まじい音が、太宰さん達がいらっしゃる方からして、慌てて顔を上げる。

「太宰さん、中也さん!」

砂煙がマシになると…、其処には中也さんを踏みつけて格好を付けている太宰さんが居て、いつも通りのお二人が居る事に少し安心する。
…に、しても。

「……いろは!大丈夫かい!?任せられるね!?」
「勿論です、お任せを、太宰さん!」

そう答えると、私は少し神経を集中させてから、息を吸って、口を開いた。

「出てきて、女王__!」

私は少しにやりと笑うと女王を呼び出した…の、だけれど。
現れたのは3歳ぐらいの愛らしい幼女で、私の知る女王では無かった。

「……え?」

私とその幼女は見つめ合う。
その幼女は、私をにこにこと嬉しそうに見詰めていた。

私は目を擦ってみる。
…矢っ張り、目の前に居るのは幼女である。

「……っ、考えている時間が勿体無い!見た目は違うけれど持っている力は変わってない…寧ろ、洗練されてる!…お願い、女王、Qを此処まで連れてきて。」
「まかせて、いろは!」

「女王」は幼子らしく呂律の回っていない口調でそう答え…って、え?
答えた?じょ、女王が…喋った…?

困惑する私に、女王は自慢げな表情で自分の倍ほどは有りそうなQを抱えて戻ってくる。

「ねぇいろは!わたくし、ちゃあんとつれてこれたわ!ほめてちょうだい!」
「え、あ、嗚呼…。」

私は云われるがままに女王の頭を撫でてあげる…と、女王はとても嬉しそうに、気持ちよさそうな顔をする。

私がそんなほのぼのとした(?)光景を繰り広げていたその時…__

「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?!?!?」

太宰さんの、声にならない叫び声が聞こえてきて、私が振り向くと、其処には…腕を、千切られた太宰さんが蹲っていた。

「……だ、だざい、さん…?」

私の躰は、恐怖と怒りによって…小刻みに震えていた。

第191話「彼の人の影」夢主→←第189話「双黒と女王の日常」夢主



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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時

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