第182話「首領からの贈り物」夢主 ページ40
真っ直ぐと前を見てそう云った私を、太宰さんは少し目を見開いて見ていた。
太宰さんが何か言おうと、口を開いたその時……___
「四年振りだねぇ、太宰君。暁君も元気そうで何よりだ。」
「……ようこそ、首領。」
「首領もお変わりないようで何よりです。」
森さんの声が聞こえ、太宰さんは直ぐに腰を上げるとふわりと降り立つ。
其れから何時もの笑顔の下に潜ませた殺意や嫌悪なんかを隠す素振りなく森さんに振りかざしていた。
一方、私は仮にもマフィアに属していた時は膝を曲げていたにも関わらず、私はただ何時もの様に微笑んでそう返すだけであった。
「太宰君、私が購ってあげた外套はまだ使っているかい?」
「もちろん!__……焼きました。」
そう笑顔さえもはぎ取って云った太宰さんに、森さんは残念そうな顔をすると、私の方を向いた。
「……暁君、私が贈ってあげたスカアトはまだ使っているのかい?」
「嗚呼!あのスカアトは、何時かの蟹に変わりましたよ。とっても美味しかったです。」
森さんの問いかけに、私は微笑んで返す。
太宰さんがマフィアから抜けたお祝いに私と太宰さんが食べた蟹のお代の出処は、私の好みとは真逆の森さんからの
其れは兎も角、森さんは私の返答に更に残念そうな……寂しそうな顔をした。
私は、この人が苦手だ。
確かに格上過ぎるということもあるのだろう。
……でも、何より……
太宰さんとはまた違う、嘘の匂いが、臭くて堪らない。
この、寂しそうな表情でさえ、嫌で嫌で仕方がない。
私がそんな事を思っていたその時……背後から、声がした。
「ポートマフィア首領、森鴎外殿。」
「武装探偵社社長、福沢諭吉殿。」
二つの異能者組織の長が、歩み寄っていくその様は、どんな映画や舞台よりも緊張感に溢れていて、今まで経験したどんな抗争よりも命の危機を感じる画であった。
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いつの間にか1が5000Hit超えてました!有難うございます!!
これからもよろしくお願いします!!!!
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更新出来ていなくて申し訳ないです…。
言い訳にはなりますが、次のお話が上手くまとまらないのでもう少しかかるかと思われます。
今年中には更新再開する予定なので、少々お待ち下さい…。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時