第77話「マフィア抜けの直後(後編)」樋口一葉 ページ30
「……いろはちゃんが、行方不明?」
「は……。先刻様子見に部屋を訪れた際、居なくなっているのに気付いた次第です。」
横にエリス嬢を付けた
私の正面には
「……最悪の予想が当たったか。……で、アグラソル君も消えたんだね?」
「はい……。申し訳ありません、
「……念は刺したンだがなァ……。」
悲しそうな声色でそう云う中原幹部に、
「……矢張り、太宰君がマフィアに居ないといろはちゃんは引き留められないか。にしてもアグラソル君まで抜けるとは……痛手だな。どうしようか……。取り敢えず下がると良い、樋口君。念の為そのまま捜索を続けなさい。」
「は。仰せの通りに。」
私がそう答え、命じられた通りに部屋から出る。
……と、出る直前……
……太宰治と暁いろは。
数年前の
その目には光など無く、味方だろうが敵だろうが、それを見た者には畏怖の感情に駆られる程だったのだとか。
こうして構成員として、完璧だった暁いろはさんは私達の世代以下では見本として敬われ、憧れの的となっていた。
……そんな人物が、敵に回る。
その心的ダメージや混乱は大きいだろう。
こうして……我らポートマフィアは、目に見えぬ、数字にも出ないようなダメージを食らったのだった。
第78話「ソルの探偵社入社」夢主→←第76話「マフィア抜けの直後(前編)」樋口一葉
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時