第75話「続・引き抜き」夢主 ページ28
「ソル、出てきて大丈夫。ちゃんと説明しよう。」
「へぇ、ソルくんが居るのかい?」
「……いろはがそう云うのなら。お久しぶりです、太宰さん。」
異能を解き、本来の姿に戻ったソルはそう云いながら、太宰さんに対して会釈する。
「私、ソルを引き抜こうと思うんです、太宰さん。」
「……引き抜き、かい?」
「はい。探偵社に、戦力として。」
「……ソルくんはどうしたいんだい?」
太宰さんの問いに、ソルはいつもの様に微笑んで答える。
「僕はいろはに恩が有りますから。それに対した願いも目標もない僕は、流されるままに楽しんでいるので。」
「ふぅん……良いんじゃない?ソルくんも厭々って訳じゃないみたいだし。」
「……!有難うございます、太宰さん!」
私が思わず、とびっきりの笑顔でそう云うと太宰さんはつまらなさそうに口を尖らせる。
「いろはは私だけじゃ足りなかったのかい?だからソルくんまで……__」
「何の事です、太宰さん?私が喜んだのは、他の誰でもない、太宰さんに認めて頂けたからですよ?」
「いろは……__」
「……あの、お楽しみの所申し訳ないんですが……早く脱出しなければ、もうそろそろ気付かれるかと。」
ソルに遮られて不満そうにする太宰さんを横目に、私はそれもそうだと思い、さっさと脱出することにしたのだった。
第76話「マフィア抜けの直後(前編)」樋口一葉→←第74話「悪夢」夢主
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時