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第35話「即席名探偵」夢主 ページ36

良いことを思いついたらしい乱歩さんは、山際さんの後輩らしき人を指さした。

「君、名前は?」
「え?じ、自分は杉本巡査です。殺された山際女史の後輩__であります」

あ、ほんとに後輩だった。何て思っていると、乱歩さんは杉本さんの方にぽん。と手を乗せ、云う。

「よし、杉本君。今から君が名探偵だ!60秒でこの事件を解決しなさい!」
「へぇッ!?」
「な、何言い出してるのこの人!」

思わず私もツッコんでしまう。

「へっ、あ、えー!?いくら何でも60秒は」
「はい、あと50秒」
「えーっと、あっと…。そ……そうだ、山際先輩は政治家の汚職疑惑、それにマフィアの活動を追ってました!」

…え、まふぃあ?あ、危なぁ……!
何て思っていると…

「そういえば!マフィアの報復の手口に似た殺し方が有った筈です!もしかすると、先輩は捜査で対立したマフィアに殺され__」
「違_」
「違うよ」

私が否定しようとすると、私の声に重ねる様に太宰さんが否定する。
驚いて太宰さんを見ると…優しく、微笑んで下さっていた。

「え……?」
「マフィアの報復の手口は身分証と同じだ。細部が身分を証明する」

…その通りだ。違う手口で殺した場合…裏切者と判断され殺される、何て当たり前の様に行われる。
昨日まで仲間だった人が居なくなることは、日常茶飯事だった。

「マフィアの手口は、まず裏切者に敷石を噛ませて、後頭部を噛ませて後頭部を蹴りつけ顎を破壊。激痛に悶える犠牲者をひっくり返して、胸に三発」
「うえっ!」
「た、確かに、正確にはそうですが……」

敦くんは、太宰さんの説明に顔を歪ませている。
私は昔を思い出し…目を伏せていた。
…すると、太宰さんは私が服を掴んでいる力がほんの少し強くなったのに気が付いたらしく、少し微笑んで私の手を握る。
私は、太宰さんに握られた手から不安や恐怖といった感情が溶けていくのを感じた。

「この手口、マフィアに似てるがマフィアじゃない。つまり__」
「犯人の……偽装工作!」
「そんな……偽装の為だけに、遺骸に二発も打つなんて……。非道い」
「…ぇ?」

杉本さんの表情が暗くなった、その瞬間…

「ぶ〜〜〜〜!はい、時間切れー。駄目だねぇ。君、名探偵の才能ないよ!」

あっはっはっはっは!と嗤いながら乱歩さんは、杉本さんの頭をだむだむと叩く。

「……」

こうして、苦笑いしている即席名探偵(名探偵の才能なし)杉本さんは、真の名探偵である乱歩さんに落第点を貰ったのであった。

第36話「座右の銘」夢主→←第34話「恋人ごっこ」夢主


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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時

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