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残香 ページ1

今日も君は、私に触れる。

照明の代わりに、少し開いたカーテンの隙間
から緋色に輝く夕日が静かに差し込む。

高鳴る鼓動や怪しく絡められた二人の指先で
今の私達の関係を現すのは十分な程だった。

「あ…んっ、出水」

触れている様で触れてない今の私達の距離。

身体の中からとめどなく溢れてくる快楽感。

出水の背中に手を回すとその瞳に乱れた私の
姿が鏡の様に反射して映る。何してんだろ…

ふと我に戻った時にはもう事は終わってた。

ギシリと音を立ててベッドから退く出水。

乱れた服を着直して荷物を持ち準備をする。

「…今日はもう帰るわ、じゃあな」

それだけ言って出水は部屋から出ていった。

私達の今の"この関係"が始まったのは丁度、
一年と半年前の暑い夏の日だった。

ただ、少しでも出水の心に触れたくて。

私から言い出したのに今更やめよう何て言え
るわけもない。でも、別に後悔はしてない。

だって、今のままでも十分満足だから。

まだ温もりが残っているベッドに寝転がる。

でも、出来ることならこの関係をやめたい。
そんな矛盾した考えを頭の片隅に追いやる。

今の関係でも十分、触れられている。

もう一度ベッドから起き上がってお風呂に入
り前以て張っていた湯煎にゆっくり浸かる。

気持ちいい湯加減に瞼が重くなってくる。

しばらくして体を流し、湯煎をから上がる。

何だか今日はとても疲れた。そこまで激しく
なかったのにと思いそのまま自室に向かう。

もう温もりの去ったシーツを剥がして新しい
物に引き換えると巻きタオルのまま寝転ぶ。

どうせ部屋には誰も入ってこないのだから。

そんなことを思いながら瞼を閉じると一筋の
涙が頬を伝う。そのまま深い眠りについた。

虚偽→



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作者名:Akina*uralu* | 作者ホームページ:http://uralu*akina*  
作成日時:2018年1月8日 2時

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