思い出 -1- ページ46
漸く落ち着いたエレンは、名残惜しそうにユキから離れた。
赤くなった目元を見て
貴「泣き虫」
とからかう。
エレンはそれを隠すように散らばった本や食器をそそくさと片付けていく。
ユキもそれに同調した。
ｴﾚﾝ「お前に言われたか無ぇよ」
貴「私は年下に泣きついた事なんて無いわ」
ｴﾚﾝ「生意気なヤツ…」
貴「ふふ、知ってる」
つられて困ったように笑うと、エレンは玄関に向かって足を進めた。
ｴﾚﾝ「戻ろうぜ。皆待ってる」
ユキは頷き、後を追おうと数歩歩いてから思い出したように振り向いて本棚へ駆けていく。
1冊の古ぼけた本を引き抜いて抱えた。
ｴﾚﾝ「…忘れモンは無ぇか？」
貴「ん」
二人で、壁までの道を並んで歩く。
貴「…ねぇ」
ｴﾚﾝ「？」
貴「兄さんは…私を許してくれるかしら」
ｴﾚﾝ「俺はアルミンじゃねぇから分かんねぇけど……許されたいのか？」
貴「……。多分。
でも分からない、難しいのね。
どう思われたいとか、今まで考えたことも無かった」
少しだけ前を向くユキの瞳を見つめて、それからエレンも前を向いた。
ｴﾚﾝ「お前、基本全員嫌いみたいな雰囲気出してたからなー」
貴「…エレンは本当に嫌いだったのよ」
ｴﾚﾝ「えっ」
貴「デリカシーが欠落してるんだもの。自分の考え押し付けてくる人って嫌いなの」
目に見えて落ち込むエレンだが
貴「…ふふっ、ごめんなさい。
今は違うわ。正反対」
ｴﾚﾝ「！」
申し訳なさそうに、それでいて悪戯に笑うユキに目を見開いた。
思わず脚が止まる。
「どうしたの？」と聞いてくるユキには特にこれといって深い意味のある発言では無かったのだろう。
貴「エレン？」
きょとんとした様子にため息をついて
ｴﾚﾝ「…何でも無ぇよ！」
下手くそに誤魔化した。
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水無月碧音(プロフ) - ピペットさん» ありがとうございます！続編へ移行しますが、これからもよろしくお願いします！ (2020年4月10日 15時) (
レス) id: 9308ec7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ピペット - 始めから読んでいますが感動の連続でした。この後の展開も楽しみです。これからも頑張ってください！ (2020年4月10日 15時) (レス) id: 0435408fb3 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - ユキさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです(*^^*)完結までどうぞよろしくお願いします (2020年3月18日 10時) (レス) id: 9308ec7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - この小説は数多くある小説の中でもダントツに好きな小説です！！こんなに長く続けて頂きほんとにありがとうございます！！また5期？の進撃の巨人もよろしくお願いします！ (2020年3月18日 9時) (レス) id: 40bc579dd3 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - 羅天心@らてんしんさん» やっと載せられて良かったです笑ありがとうございます笑笑 (2020年3月17日 17時) (レス) id: 9308ec7c9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水無月碧音 | 作成日時：2019年7月16日 21時
