ワインの右腕と呼ばれた人間2【fell swap gold】

改造癖 ページ38

「ふふふ、ごめんごめん。二人共顔真っ赤だよ。」

「ンギャヒャヒャ！二人共堅苦しく見えて結構おもしろいんだねぇっ！」

「「おちょくるな無礼者！」」

「被ってるぅ〜！」

アンダインは私達の反応がツボに入ったのかケラケラ笑い続けている
全く、アルフィスの友の癖に実に失敬な奴だな

「あ、そろそろ時間だから行こう。他の生徒達も来る頃だし見られるとやっかいかもしれない。」

「もう次の電車の時間か。リバーパーソンも忙しかろう。」

「次からは満員電車が続くからな。何もできないが幸運を祈っておこう。」

「んじゃあたしは時間まで寮にいるね！退学者が出たおかげで部屋が広々使えるんだぁ。」

「程々にね、アンダイン。」

「アルフィスこそ！同期の背骨へし折ったりしちゃだめだよ！」

「しないよぉ……」

そんな会話をしながらアンダインは寮へと去っていった
しかし不思議だ
私が最初に発見したときはもっと弱々しかった筈だが……

「アンダインってあんなに明るかったか？」

「あぁ、本来の彼女はあんな感じだよ。自分の好きに真っ直ぐで頭が良くて、自慢の親友なんだ。ちょっと空回りしがちだけど。」

「ふむ……手を回したからいじめられることもなくなるだろうが、それが逆に悪い方に転がらないよう祈ろう。彼女は確か改造するのが好きだっただろう？クラスメイトを改造したりしてな。それだけが懸念事項だ。」

確かアンダインは改造手術が好きだと言っていた
あのあと少し調べたがモンスターへの手術は行っていないものの小動物はミサイルが出るようにしたりビームが出るようにしたりと割と好き放題やっているとの情報が入ってきている
今はまだいいがこれがエスカレートしたらと思うと頭が痛い

「……一応程々にと言ってはいるよ。」

「「嫌な予感しかしないんだが？」」

「あはは……」

疑惑の目を向けるとアルフィスは頭を掻いてヘラリと笑った
後に王国科学者になろうという女がそれでは母上の後釜など任せられん
化学科連中の中で唯一素質がありそうなのが彼女なのに
いや勿論母上も大概だが弁えるところは弁えてる……筈だ
だからこそ今から礼節は叩き込んで然るべしだ
せめて合意は得るべきだがそこをどう教え込むかだなぁ
さて、何はともあれ、私達は荷物を持って懐かしの寮へと歩を進めた
相変わらずの曇り空を見上げながら私は願った
母上、コーヒーの写真は毎月十枚、必ず添付してくださいね、約束ですよ……と

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