鬼が五匹 ページ6
あれからどれほど経ったのだろうか、外へ出た
あの男の子大丈夫かな
見張りは居ないか確認しながら牢屋へ向かうが誰もいなかった
そう。牢屋の中にも
鍵が錆び切って壊れている
「逃げたのかな」
そう呟きまた外へ向かう
「私、どれだけあそこに居たんだろう」
何処行こうかな
適当な家を見つけて中に入る
出来れば一泊したいなんて考えていたけれど屋根に空いた大きな穴を見てその考えは断念した
木も腐っている
とりあえずなにか着るものが欲しい
こんなボロボロの身なりでどこか家にあげてもらえるわけもないし
そうおもい家を探すといくつか手頃な着物が数着あった
家にあった風呂敷に包み立ち上がる
近くにあった川で体を洗い服を着替えると川下に大きな家が建っていることに気がついた
人間だ
このまま助けを求め今日の分の食料と住居を手に入れるか
逃げて獣に食い殺されるか
なんともまあ答えのわかりやすい問題だ
グッと拳を強く握り前を見るA
「すみません」
「はーい、ええとどちら様でしょうか」
出てきたのは優しそうな若い女性
「実は旅をしている者ですが食べ物も体力もつき、フラフラで…一晩置いて頂けませんか?」
「まぁまぁ…勿論よ。
ゆっくりお休みになられてくださいな」
「ありがとうございます」
部屋に案内され、荷物を置く
確か部屋の中なら自由に動いていいっていってたっけ。
本棚から医学系の本を取り出し、読み出した
そしていつの間にか夕方、ご飯を頂き、部屋に戻ろうとするが途中で物置の様なところから物音がした
「?誰かいるのかな?」
開けてみるとそこには白髪の男の子
「あ、えっと…僕、何してるのかな?」
「俺は…この家の下人…で…」
「それでどうしてこんなところにいるの?」
「俺の…部屋だから……」
「ここが?ただの物置じゃない」
そういうと男の子は黙り込む
人間は、同じ人間にもこんな仕打ちを与えるのか
本当に恐ろしい生き物だ
着物からのぞかせるやせ細った腕が目につき風呂敷に入れていた道の途中で手に入れた木の実を渡す
「…この木の実あげる」
「え?」
「何も食べないよりはマシだと思う」
「…??」
「心底分からないって顔ね
もちろん私もただでとは言わない」
そう言うと一瞬で身構える男の子
「一緒に寝て欲しいの」
「…え?」
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作者名:ヘアリー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HAK/
作成日時:2019年2月22日 21時