鬼が二十八匹 ページ29
あれから晋助達は私達と住み、役人達も何もしてこなくて平和な日々が続いた
「と、いうことで!どこか行きませんか!!」
「いやなんでだよ」
「すいませんA、今日は銀時と手合わせする約束なので…」
「えー!」
そして他の皆も何かしら理由があり、行けなかった
一人で散歩でもするか…
洗濯など一通り仕事を終わらせ、家を出ると傘を被っている人とすれ違った
すれ違い様にふとその人の顔を見る
「!!あの…まっ…待ってください!!」
慌てて振り返り、その人を引き止めようとするが
「え…いない…」
その人がいるはずの場所には誰も居らず、烏の羽が一つ落ちているだけだった
でも…あれは確かに…
「朧…」
おちている烏の羽を手に取り、もう一度周りを見渡すがやはり誰もいない
「朧…ッ」
訳も分からず朧を探す
ドカッ
「うっ…」
木の根に躓き転んでしまう
「おぼ…ろ…」
ポタポタと零れる涙が地面を濡らしていく
分かってる、あの子はもう死んだんだ
分かってるけど
「行かないで...」
「もういい」
上から朧の声が聞こえる
「!!おぼっ…うっ…」
慌てて上を向こうとすると首を叩かれ意識が薄れていく
最後に見たのは
「!」
苦しそうに顔を歪める朧の姿だった
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作者名:ヘアリー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HAK/
作成日時:2019年2月22日 21時