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その列車はナツを乗せていく-5 ページ34

「うぅ…おぉぉ…」
「うぇぇ…」

列車に乗って僅か数分。
2人分の苦しそうな声が聞こえてきて、ルーシィは苦笑いを浮かべた。

「2人とも辛そうね…というか、ナツは知ってたけどルシアもなんて。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)は皆そうなの?」
「さぁな。そもそも、オレたちはルシア達以外に滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を見たことがねぇからわかんねぇよ。」

ルーシィの疑問に、ルシアの背中を(さす)っていたグレイがそう答える。
「それもそうね、」とルーシィが相槌をうつ。

「全く、ナツは仕方ないな」

会話をしている2人の前で、ルーシィの隣にいたエルザはナツの惨状を見て微笑み自身の隣の席を叩き「こちらへ来い」と招いた。

ナツはそれに従い、エルザとルーシィの間に移動する。
その瞬間、エルザはナツの首を掴み腹を思い切り殴った。

当然そんな事を予想していなかったナツは、「ぐぇ、」と呻き声を上げてそのまま崩れ落ちる。

「これで少しは楽になるだろう。」

満足気に言うエルザに、ルーシィとグレイはもはや言い返しはしなかった。

暫く沈黙が続いたが、不意にルーシィが「そう言えば…」と声を出した。

「あたし、妖精の尻尾(フェアリーテイル)でナツとルシア以外に魔法って見た事ないなぁ…。エルザさんはどんな魔法を使うんですか?」

そのルーシィの疑問に「エルザで良い」とエルザが言ってから答えたのは、ハッピーだった。

「エルザの魔法は綺麗だよ。血がいっぱい出るんだ。相手の。」

純粋無垢にそう答えるハッピーに、ルーシィは「綺麗・・・?」と首を傾げた。
エルザは謙虚に「たいした事はない」と言った。

「綺麗という点では、私はグレイの魔法の方が綺麗だと思うぞ?」
「そうか?」

エルザとグレイの会話に興味を持ったルーシィはグレイにどんな魔法なのかを問う。
実践して見せた方が早いだろうと判断したグレイは手をクロスさせ、魔力を込めた。

数秒後、キラキラして出てきたのは氷で出来た妖精の尻尾のギルドマークだ。

「わぁ、綺麗!」
「氷の魔法さ。」
「氷って・・・アンタ似合わないわね」

ハートマークが語尾につきそうな勢いで失礼な事を言うルーシィに、グレイは「ほっとけ」とぶっきらぼうに言った。
そして、なにか思いついたのかルーシィが「あっ、」と声を発する。

「氷!炎!・・・だからアンタ達仲悪いのね〜」

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作者名:ねむ | 作成日時:2018年10月22日 0時

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