□□□イトシノ、ダーリン 3 □□□

. ページ49

.




.




「.....ねぇ。潤はさ....今まで誰とも付き合ったことないの？」


2人で並んでソファーに座って
コーヒーを飲んで。

ずっと聞いてみたかった事を
潤に尋ねた。



「ないよ。」


潤は、すぐにその答えを返して
私の肩を、そっと抱き寄せた。



「.....俺、ずっとAさん一筋だったから。」

そう耳元で囁く潤に
胸の奥が、キュンとなって。



「.....ごめんね。今までずっと。」


潤の気持ちも考えずに
これまで恋愛してきた数々について後悔した。




「謝る事じゃないよ。俺に魅力がなかっただけなんだから。
あんなにしつこく“好き”って言い続けたのに
俺を選んでくれて、ありがとう。」



そう言った潤が
抱きしめる腕を強くしたから。

その力に絞られたみたいに
涙が溢れてきて。




「.....ずっと好きでいてくれて......ありがと。
潤.....大好きだよ？」


潤の肩に、ギュッとしがみついた。




ちゃんと泣くのを我慢して
言えたはずだと思ったのに。



「.....泣いてるの？」

って、潤は
そういう小さなところにも、すぐ気づく。


私の顔を見ようとして
抱き寄せた腕を緩めた潤と

視線がパチンと合って。



「.....俺、早く頼れる男になるから。
Aさんのこと、不安にさせないように頑張る。」


真剣にそんなことを言うから
また泣けてきて。


ギュッと閉じたまぶたから
涙がポロポロと溢れ落ちた。


「ごめん、頼りなくて。」


潤は、頰に伝った涙を
指で優しく拭ってくれた。



「.....ちが....不安で泣いてるんじゃないよ......」


弁解したいと思うのに
涙が止まらなくて。


「....もう....潤が好きすぎて......
こんなに好きになってもらえて嬉しくて....
涙が.....出てくるのっ......」



私の方が年上なのに
泣きながらこんな事いうの、すごく恥ずかしくて。


潤の胸に顔を押し付けて
ギュッとしがみついた。


そんな私を、壊れそうなくらい強い力で抱きしめた潤は。



「.....Aさん....可愛い。
めちゃくちゃ可愛い。」



そう言って、泣きじゃくる私の耳元に
何度も 何度も


「好きだよ。大好き。」


って、囁いてくれた。





.





.

ありがとうございました！→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す