またきっと明日はくる.46 ページ46
織田作之助がAを引き取ってから早くも数日が過ぎた。
最初は前の記憶と現状の違いに戸惑っていたが、織田が見るに今はもう自己完結しているようで、今日も今日とて出勤する織田の見送りをしていた。
「オダさん、今日はお仕事早く終わりますか?
今日はオレ、親父さんと下でカレー作る予定なんですけど。」
そう言いながら布に包まれたお弁当を渡してくるA。
織田はそれを自然に受けとりながら返事をする。
「そうか…でも無理はするなよ。
お前はまだ病み上がりだからな。」
そう弁当を持つ反対の手でAの頭を労うように撫でると、まだ幼さを残した顔のAは拗ねたような声で反論をした。
「もうすっかり大丈夫ですってば!!
もう包帯もガーゼだって取れたじゃないですか。
安心して下さい、むしろ期待していて下さい!病み上がりだなんて思わせないくらい美味しいの作りますから!!
勿論、ちゃんと子どもたちの面倒だって見てますよ!!」
「………そうか。なら、早めに帰ってくる。
じゃあ、留守は任せたぞ。」
「はい!!オダさんもお気をつけて!!」
まだAを引き取ってから一週間がようやく経とうという今日まで、既に織田の中でAは居て当然の存在のようになってしまった。
子どもの面倒見は良く、料理も上手く、掃除も出来る。
見た目はまだ子どもに関わらず、大人である織田よりも家事のできるAは大きな存在だ。
「おーだぁーさぁーくーー!!」
そして、Aを引き取ってから、職場にて昼食になると決まって友人の太宰は織田の所へ押し掛ける。
目的はAが織田に持たせるお弁当である。
「いやー、今日も美味しそうなおかずだね!オダサク!!」
私は今日は玉子焼きの気分だなぁ。
と遠慮もなにも無しにひょいっと玉子焼きをつまんで口の中に放り込む太宰。
「んーーー!!だし巻き玉子なんだねぇ!!
とても私好みの味だよ!!」
そう言っておかずを毎日一品くすねていくこの友人は今日も今日とて包帯まみれだ。
「それで?最近例の彼の様子はどうだい?」
「どーも、こーも、至って普通だ。
………今日はカレーを作って待ってるそうだ。」
「まるで新婚みたいな感じだね……
いやぁ、彼の手作カレーかぁ…
よぉし!今日は早めに仕事を切り上げて私も食べに行こう!!」
そう言ってはしゃぐ友人を横目に織田は残りの弁当を平らげた。
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アミ - 更新頑張って下さい! (2020年3月27日 16時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
マッキー(プロフ) - 更新頑張ってください! (2018年12月23日 23時) (レス) id: 0346650c4f (このIDを非表示/違反報告)
月夜 黒輝(プロフ) - すごく難しい気が...。でも凄くい話ですね!続きが気になります!更新出来れば再開してください。お願いします。 (2018年12月15日 7時) (レス) id: 9616d08dd2 (このIDを非表示/違反報告)
魔夜美(プロフ) - 更新がんばってください (2017年5月3日 16時) (レス) id: a15b068210 (このIDを非表示/違反報告)
白蜜 - とても面白いです!! 続きが凄く気になります! (2017年2月13日 7時) (レス) id: 6cc179f9dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いないな | 作成日時:2016年6月23日 18時