第九訓 ページ10
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「おーい、何をそんなに騒いでるんでィてめーら」
耳にイヤホンを指し音楽を聴いている男、新選組一番隊隊長沖田総悟である。
「あ、沖田隊長」
「見てくださいよ山崎さんのか…ああ！！その刀は！！！菊一文字RX-78！！」
先ほどまで長船に夢中だった二人は手のひらを返したように沖田の刀に夢中である。
よくよく考えるとなぜ刀にミュージックプレイヤーなど搭載しているのだろうか…しかし男はそういった真新しくかっこいいものに惹かれるのだろう。
男たちはまた素振りさせてほしいと沖田から刀を受け取り、長船との違いに興奮していた。
騒がしくしすぎたのか障子が開き、近藤から声がかかる。
「おい何だ、朝から騒々しいぞ」
「局長すみません…あの、ああああ！！！！」
男は持っていた菊一文字を放り投げ近藤の持っている刀に注目した。
「その刀は虎徹Z-�供�！」
その刀には柄の先にコロコロが取り付けられている。なぜ？
今度は沖田が素振りをしたいと虎徹を受け取り、なんと岩にたたきつけ虎徹を真っ二つに折ってしまう。
「ああああああああああ！！！！虎徹ううううう！！！」
「あ、すいやせ〜んこれなら岩も両断できると思ったんですけどだめでした〜」
「おめー絶対わざとだろ！俺の虎徹ちゃんに嫉妬してーー！！！」
朝から騒ぎ立てる男たちを傍で聞いていた土方の口角はピクピクと痙攣している。おおかた、バカらしくて聞いていられないのであろう。
――――――――――
刀が武士の魂なんぞとのたまうつもりはねェ
まして、刀の格式の高さが自分の位も高めてくれるとは思っちゃいねェ。俺にとって刀は刀でしかない…いや、それこそが俺にとって最も必要なものだった
何よりもまず俺に必要なのは敵の白刃を斬り抜けるための刀だった――――。
鍛冶屋に向かいながら土方は先のやり取りを思い出しながら自分にとって武士とは、刀とは何かを考えていた。
「相変わらず無茶してるようだな」
鍛冶屋の亭主は土方に差し出された刀を見ながらつぶやく。
その刀は刃の部分が綻んでおり、敵を斬り抜くための刀とは言いづらい。
「刀は鍛えりゃまた使えるが人間はそうはいかんぞぉ」
「人間も折れなきゃまた叩きあげられるだろう」
そういいながら土方は壁に掛けられた一本の刀に近づく。
「刀がこんな様になっちまう戦い方してたらそのうちお前さんもぽっきり折れると言っておる」
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作者名：あ | 作成日時：2024年3月6日 2時
