夢小話~土方十四郎編~ ページ28
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早朝4時、退勤まであと一時間というところで緊急で応援に呼ばれいつもの巡回場所より遠いところで打ち合いをしなければいけなくなった。
「チッ…ただでさえ寝不足なのに、緊急出勤なんかさせんじゃねーよクソが…」
そう、俺は不眠症+寝不足で非常に機嫌が悪いのだ。
攘夷浪士を斬り捨て、敵のアジトへ突入。このいつもの流れがこんなにも体にしんどく響く。
「…っはァ…はっ……朝から、騒がしンだよ」
最後に斬り伏せた浪士を睨みつけながら俺はぼそぼそと愚痴る。
頭がうまく回らない、気持ちが悪い。
「俺はもう寝てェんだよ。
これ以上隈がひどくなってパンダになったらどうしてくれんだ、動物園にスカウトされちまうだろコノヤロー可愛いナンバーワンとるぞコラ」
もう自分が何を言っているのかわからないが、怒りは収まりそうもない。
「あ…も、むりっ…」
俺は意識を手放し、後ろに倒れた…んだと思う。
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「…っと、危ねェ。
悪ィな、夜のお前に朝の仕事任せちまって。今はゆっくり寝とけ」
土方はそっとAの体を受け止めるとそのまま抱き上げる。
「…おいおい、お前軽すぎだぞ。ちゃんと飯食ってんのか…
山崎ィ、あとで飯の用意しとけ。俺ァコイツ屯所まで運んでくる、あとは頼んだぞ」
「はい!」
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「…はっ!」
やっば…めちゃくちゃ寝てた…。今何時だ…?
というかここは…そうだ、緊急で応援に呼ばれて、あー…
「なんだっけ…覚えてない…」
「限界が来たおめェがぶっ倒れて、俺がここまで運んだんだ」
確かによく見たら、ここは屯所にある俺の部屋だ。
「っていたんですか土方さん!!
…え?土方さんが俺を運んでくれたんですか…?!」
「落ち着け、おい」
「お、俺重くなかったですか?!土方さんの腕折れてません?!」
「そんなヤワな体してねーよ俺は」
「俺、着替えもしてるし何から何までほんとすみませんありがとうございます!!」
「だから落ち着けってェ!!
気にすんなそんなこと」
「…土方さん…ありがとうございますぅ…好き、かっこいぃ…」
俺は土方さんに倒れるように抱き着く。感極まっちゃった、普段こんなことしないけどね!
土方さんはフッと笑うと、俺の頭に手を乗せ優しく撫でる。
「お前ェだけだよ、俺にそんなに懐く奴ァ…」
それはひどく優しい声色だった。
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気分転換にちょっとした話を書いてみました🌸
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作者名:あ | 作成日時:2024年3月6日 2時