第二十一訓 ページ22
――――――
その男は吸った煙草の煙を吐き捨てた。
「ひょっとして、お前…。」
「やれやれ…最後の一本吸いに来たら目の前に居るのがテメェらたぁ、俺も焼きが回ったもんだ。まあいい、コイツで最後だ。藁だろうが何だろうが縋ってやる…。
いいか、テメェらにっ…最初で最後の頼みがある…。」
土方派は苦しそうに膝を折る。
限界が近いのだろう…。
「っ…、頼む。新選組を…俺のっ、俺たちの新選組を…」
―――土方の口から煙草が落ちる。
「…守っ…て…くれっ――――」
――――
―――
――
左腕に傷を負った山崎は副長に知らせまいとひたすらに走っている。
「まさかっ伊東の奴、奴らと手を結んでいたなんて…副長に、早く…!」
副長に……――――!!
瞬間、山崎の目の前に男が現れ、左胸を刺される。
山崎は口から血を吐き、刺した相手を見る。
「くっ…お前、は…鬼兵隊、人斬り…河上万斉っ…!」
倒れた山崎の背後には伊東一派が並んでいる。
すでにここまで追いつかれていたか…!
「伊東…貴様ぁ…!敵と内通していたか…!!」
「山崎君、君たちのように斬りあいばかりじゃ世の中は変わらん。僕らはもっと互いにうまく付き合っていけるはずなんだ。君の上司のようなやり方では新選組はこれ以上は強くはならん。僕の手によって新選組は生まれ変わるんだ、もっと強くてもっと大きくそうして、この伊東鴨太郎が器を天下に示すための箱舟となってもらう」
山崎は動ける限り前に進む、這いずってでもこのことを副長に…新選組に伝えなければ…!!
「…やりたきゃ、やりなよ…だが、一つ言っとく…。あんたがどれ程の器の持ち主かなんて…学のない俺達にはわからんよ…」
――――進む、血が跡を作りどれほどの怪我かを物語っている。
「だが…士道も節操も持ち合わせていない、空っぽの器になんて…誰も付いて行かんよ…。俺は、あの人たちにっ付いて行かせてもらうわ…」
這いずり、出血がひどくても山崎は自分の信じる新選組のためにもがく。
「…最後、まで」
「…万斉殿、あとは頼む。」
万斉は山崎まで歩み寄り、背中にある刀を大きく振り上げ山崎めがけて振り下ろした。
ザシュッ…
斬りかかる大きな音が鳴り響いた…―――――。
―――――――
万斉ついに登場だー!!!
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作者名:あ | 作成日時:2024年3月6日 2時