第十四訓 ページ15
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テレビに食らいつく土方を障子の隙間からほくそ笑む男―――そう、サディスティック星の王子、沖田総悟である。
「こりゃあ、A兄にいい知らせができそうでさァ…((ニヤア」
「…;;;;;」
土方は一番見られてはいけない者に見つかってしまったのである。
そして知られたくないかわいい部下にも聞かれてしまうと悟ったのである―――
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翌日 新選組稽古場物置にて――
山崎含む6人の男は稽古をせず、ジャンプを読んでさぼっている。
もちろんばれたら切腹ものだ。
しかし男たちは稽古をする気はなく浪士たちに襲撃された時の土方の話で盛り上がっている。
「――マガジン以外の漫画、局内で読むことなかれ。こんなとこ見られたら切腹もんだ」
「あの人マガジン派だからね〜」
「ちょっと貸して」
後ろから伸びた手に山崎は振り向かずジャンプを渡す。
「しかも一昔前のヤンキー漫画、ジャンプ派はつらいぜ…んぁ?ええ!!!副長!?!?!いつの間に?!?!」
そう、後ろから手を伸ばしジャンプを借りたのは話題に上がっていた鬼の副長土方十四郎である。何食わぬ顔で借りたジャンプを読んでいる。
「ち、違うんですこれは!!あの、あれ!本の厚さが似てるんで間違って買って来ちゃって…!!」
「おい…」
「はいィィ!!!」
「To LOVEるって超面白いよね?」
土方から発せられた言葉だと信じられない隊士たちはものすごい顔で驚愕している。当たり前だ、あの鬼の副長がTo LOVEると言ったんだ。明日は槍が降るに決まってる。
「単行本勝手こよっと」
ジャンプを読みながら土方は足を進める。
その背中を見て山崎は一言、
「100歩譲ってBOYS BE...だろ…!」
そう呟いた。
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翌日 新選組某所にて―――
「最近は浪士たちによる襲撃も増えている。くれぐれも単独行動は避けるように」
「「「はい!!!」」」
「それでは当番を割り振る、一番隊は――」
言いかけたところで、誰かの携帯の着信音が響く。
隊士たちは焦り、土方は目を大きく開く。
「やべ、携帯が!」
「バカ!お前ェ会議中に携帯鳴らした奴は、局中法度で切腹だぞ!!」
「ひィっ!土方さん!違うんです俺!!嫁さんが―――」
また、誰かの携帯の音が鳴る。某有名女児向けアニメのOPだ。
ざわつく隊内、二度も携帯が鳴りより一層緊張感が走る。
音が聞こえるのは…副長の胸ポケットからだ。
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作者名:あ | 作成日時:2024年3月6日 2時