第十一訓 ページ12
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土方side
ダメだ、完全にイカレちまってる
やられる、このままじゃ…!
「おい!」
刹那、俺の周りにいた浪士たちは宙を舞う。
何だ、何が起きたんだ…
「!!」
見慣れた制服、見慣れた太刀筋…
だが、その面は…!
最後の一人を斬り終えそいつは
「新選組隊士が襲われていると思い駆けつけてみれば…こんなところで何をやっているんだ。土方君?」
俺を見下すように、そう言った。
「お前は…」
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新選組 屯所にて
「伊東先生の鬼人を祝して、乾杯ー!!」
近藤が声を上げ酒を仰ぐ、隊士たちは一斉に酒を掲げ声を上げる。
伊東が帰ってきたことにより心成しか新選組はいつもより活気にあふれている。皆それぞれお酒や食事を堪能し、帰ってきた伊東を歓迎している。近藤さんの計らいで俺も今日は夜の見廻りではなく宴会に参加している。
「いやー伊東先生、今回は本当にご苦労様でした!しかし、あれだけの武器よくもあの幕府のケチどもが財布の紐を解いてくれましたなァ」
「近藤さん、ケチとは別の見方をすれば理に聡いということだ。ならば僕らへの出資によって生まれる幕府の理を解いてやればいいだけのこと…。もっとも近藤さんの言う通り、地上ではいつくばって生きる我々の苦しみなど意にも返さぬ頑迷な連中だ。日々強大化していく攘夷志士の脅威をわかりやすく説明するのも一苦労だったがねェ」
「あは、あはは!!違いない、違いないよ!!頑迷だよねあいつら!ほんと頑迷〜」
近藤は伊東の話を完全に理解できておらずあたふたと返事をする。
それを横で聞いていた沖田がすかさず声を上げる。
「近藤さーん、頑迷ってなんですか?」
「うるさいよお前は!子供は黙ってなさい!!」
「頑迷っていうのは頑固で考え方に柔軟さがない、って意味だよ」
「お、さすがA兄。」
「ですよね、伊東せんせっ」
「君は本当に理解があって話しやすいよ。…近藤さん、あのような者たちが上にあってはいずれこの国は滅ぶだろう。我々はいつまでもこんなところで燻っていてはいけない、進まなければならない!僕らもっと上を目指して邁進しなければいけない!!そしていずれは国の中枢を担う剣となり、この混迷する国を救うことこそがこの時代の武士として生まれた者の使命だと僕は考える!!そのためならば僕はこの命君に捧げても構わないと思っている!」
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作者名:あ | 作成日時:2024年3月6日 2時