雨、のち理性崩壊。Ⅰ【赤司征十郎】 (ページ11)

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…11 *。『この雨の中で』ページ11

。

それにしても、
傘がないのにこの雨の中を帰る生徒も意外といるんだなーなんて

そんな呑気なことを考えながら歩いていると、

少し前に同じ帝光の制服を着ている男の子を見つけた。

姿勢からしてきっちりしてそうなのに、
傘は忘れたのか持っていない様子だった。

『なんかスゴク危なっかしい……』

この土砂降りのせいで、視界が奪われているのか

少しふらついている。

その子がどうしても放っておけなくて

私の足は一直線にその方向へと向いていた。

．

．

『あの……大丈夫で……っ!?』

急にドサっと倒れかかってきた、
男子にしては小柄な……それでいてしっかりしている体は

冷え切っていた。

声をかけようと思って途切れたのはこのせいだ。

『……えぇ!?//』

「……っ」

赤い髪のその男の子に
何故か私は今、抱きしめられている訳であって。

状況が理解しがたい…

あれ？この子、どこかで見覚えがあるような……――。

。