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37話「絶望を与えるその姿」 ページ37

鬼であるおいよさんとは初めて会ったけど、少々雑な上に荒っぽいところが垣間見える。だけど、そんな彼に堕天使が昼んでいる様子を見るにこれはチャンスなのではないか……?

そう思った時、


「オマエ、なに目輝かせてんだよ」

『__ぇ、』


ドスの効いた声を降らせてきた彼は、私を抱えている腕の力が強くした。ギリッ、という音と私の骨が軋む音が同時に聞こえてきて思わず顔を顰めさせる。

痛い、痛い。痛みと嗚咽で苦しい一方、なんて自分はこんなにも弱いのだろうと酷く痛感してしまう。怪物成り立てと言えど私だって、立派な怪物なのに。


「嫌いなんだよ。その希望に満ち溢れた目も、小さな可能性に賭けてる考えも、全部。絶望的な状況なのに、笑って、未来のことを考えてる奴が特にな」


そう言った彼の瞳は赤黒く濁っていて。……さっきの言葉は私に向けたものじゃない。一体なんの事……?一体、誰と私を重ねているの?

すると堕天使は「潮時だな」と言い放つと突然空を一つ切り裂いた。切り裂かれたそこには、黒くて歪んだ空間が出現しており、吸い込まれそうな気持ちになる。


「そこの河童は味気なかったが、鬼のオマエは相当オレを楽しませてくれたようだ。特別に見逃してやるよ」

「……へぇ」


そう言って、切り裂いた空間に体の一部を入れた堕天使に嫌な予感を覚える。

これってもしかして、空間を移動出来るようなものなんじゃ__。ここでおいよさんと距離が離れてしまったら、私が助かる未来が益々見えなくなってしまう。


『やだッ、たすけ__』

「うるせェよ」


その声が聞こえたのと同時に、後頭部に強い衝撃が走る。痛みと共に頭がボーッとして思考がままならない上に視界がぼやける。

やだ、こんなところで。


「黙って寝てろ。オマエに物を喋る権利はねェ」


最後に聞こえたのは、ただひたすらに冷たく言葉を吐き捨てる堕天使の声だった。



ꕤ︎︎

2023/12.20 -
キャプションの内容などを大幅に変更致しました。
物語の進行的には問題ありませんのでご了承ください。

※リメイク前のストーリーと大幅に違っています※

38話「一般怪物の見解」→←36話「鬼の力」



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黒狐 - …!前の作品も読ませていただいてました!リメイク版してるのみて駆けつけました!リメイク版も面白いですね!同じ作品を2度楽しめてこちらも楽しいです!ありがとうございます!更新応援してます! (4月23日 22時) (レス) @page43 id: fb020f6fb3 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 2.3年前から読ませて頂いていて何度も読み返すほど大好きな作品です!リメイク前の方も読ませて頂いてます!変わった妖怪という世界観だったりする所やストーリー 設定などとても面白くてめちゃくちゃ好きですまたいつか続きが読める事をずっと待っています。失礼しました (7月3日 11時) (レス) id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
ミドロ - なにこれ……か、か…!神作じゃねぇかよぉぉぉぉぉ!!!!更新頑張ってください!!!! (5月30日 13時) (レス) @page14 id: 9d7832c4d1 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - まだ待ってますから、どうか続きを恵んでください (2022年9月11日 17時) (レス) @page14 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 凄い………私もこんなの作って見たいのですか妖怪などが思い浮かばないです……少しだけ真似してもよろしいでしょうか(土下座)続編待っています!! (2022年1月30日 9時) (レス) id: 30ab8735d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天使匠 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年8月21日 20時

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