36話「鬼の力」 ページ36
酒呑童子……。鬼の中でも強い力を持っていて、お酒の力を借りたらより強大な力を得ると言われている…。
堕天使は大きな舌打ちをした後、回し蹴りで振りかざされている金棒を蹴り上げると再び私を抱えて飛び上がった。
「この町には自警団なんつーもんが居んのかよ。知れば知るほどオレとあいつに皮肉の効いてる町だな」
「おーい、降りてきてくださいよ〜。そんなに高く飛ばれちゃあ金棒が当たりません」
「当たらねェように飛んでんだろうがッ!!」
「え、じゃあなんでさっき降りてきたんですか?うわ〜、もしかしてさっきのがボーナスタイムってやつですかぁ」
「違ェよ!!!」
そう言ってヘラヘラと笑うおいよさんに新鮮味を感じてしまう。今までこういう状況でこんなに笑っている人は初めて見た。
「参った」という様子で下からこちらを見上げているおいよさんだったが、次の瞬間には目を開いてその赤い瞳をこちらに向けていた。
「まぁ、六人目サマに当たっても労災くらい下りてくれるだろ。不可抗力ってやつ?」
「は?なにして__」
おいよさんは「よいしょ」と言い、金棒を振り上げて力を溜めるような素振りを見せた。まるで、野球でボールを投げるピッチャーのような__
「まさか……ッ、?!六人目!オマエ、頭だけは守れよ!」
『えっ、え?』
「鬼の攻撃ともなると修復は不可能に近くなる!!それだと、オレらとしてもお前としても厄介な話だ!」
一体何の話を__と、思っていた瞬間だった。
下を向いた時、目に映ったその様子はまるで絶望。赤いオーラに身をまとった金棒が凄い勢いと回転をかけてこちら目掛けて向かっていたからだった。
『ひぃッ、?!』
「あっぶねぇ!!おい!自称自警団ッ!!」
「自称じゃなくて本物ですよ。ちゃんと館の彼らが五大怪物の時から許可を貰ってましたし」
「なら尚更だッ!こっちにはお前らの言う六大怪物の一人がいんだぞ!!オマエのその馬鹿力が当たったらどう責任取るんだ!」
堕天使がそう言うとおいよさんは笑顔を絶やさず首を一つ傾げた。
そして帰ってきた金棒を頭の上で力強く掴むと再びそれを肩に担いだ。
「怪我、損傷、破損。どんなことになっても拐われて他の町の生贄になるよりかはマシでしょう。それくらい、らっだぁだって許してくれる」
「ね?」と微笑むおいよさんに思わず身が震える。らっだぁさん達が良くても当人の私が良くない……!
「この町イカれてやがる…」
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黒狐 - …!前の作品も読ませていただいてました!リメイク版してるのみて駆けつけました!リメイク版も面白いですね!同じ作品を2度楽しめてこちらも楽しいです!ありがとうございます!更新応援してます! (4月23日 22時) (レス) @page43 id: fb020f6fb3 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 2.3年前から読ませて頂いていて何度も読み返すほど大好きな作品です!リメイク前の方も読ませて頂いてます!変わった妖怪という世界観だったりする所やストーリー 設定などとても面白くてめちゃくちゃ好きですまたいつか続きが読める事をずっと待っています。失礼しました (7月3日 11時) (レス) id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
ミドロ - なにこれ……か、か…!神作じゃねぇかよぉぉぉぉぉ!!!!更新頑張ってください!!!! (5月30日 13時) (レス) @page14 id: 9d7832c4d1 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - まだ待ってますから、どうか続きを恵んでください (2022年9月11日 17時) (レス) @page14 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 凄い………私もこんなの作って見たいのですか妖怪などが思い浮かばないです……少しだけ真似してもよろしいでしょうか(土下座)続編待っています!! (2022年1月30日 9時) (レス) id: 30ab8735d2 (このIDを非表示/違反報告)
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