35話「ら民町自警団」 ページ35
『ダーク、ぺいんと……?』
その姿がとても異様で、漆黒に染まったその羽が羽ばたく度恐怖を覚える。
彼は「チッ、」と一つ大きな舌打ちをした後、勢いよく私の首を片手で掴んで伸ばした。
『ガッ、!?ぁぐ、……ッ』
「オマエ、前々から鬱陶しいんだよ。アイツ、ぺいんとの目を通して見てたがいつでもニコニコと……誰に対しても笑顔を振り撒いて、何にでも肯定して…」
「俺は身内でも他人でも、そういう奴がいっちばん嫌いなんだよ」
ギリッ、と首を絞める力が強くなる。
抵抗で絞めている手を解こうとしてもやはりビクともしない上、やはりどんどん力が増す一方で。
「ほんとはここで殺しちまいてーが……計画が破綻しちまうからな。まだオマエに死んでもらうわけにはいかねェ」
「まぁ、死ぬよりひでぇことにはなるかもな」と言って笑う彼にただ、ひたすらに恐怖心しか芽生えない。
だれか、助けて_
「そこら辺にしとけよ」
そう願った時、耳に入った言葉は重く、ドスの効いた低い声だった。
それと同時に、ぺいんと…堕天使である彼の身体すれすれを「なにか」が凄い勢いで飛んでくる。
「…は?」
空中で回転しながら自由落下していった「なにか」は地面へと落ちる前に誰かの手のもとに勢いよく戻っていく。
地面の方から聞こえるガキンッ、と鋭い音と共に怪物成り立ての私でも感じることのできる妖力が飛んできた。
「自分らの町で好き勝手やられる挙句に、都市伝説サマと六大怪物サマがやられちゃってるんでねぇ。こっちとしても見過ごす訳にはいかねぇんですよ」
すると、突然堕天使に抱えられたかと思えば、抱えられたまま地面へと降り立つ。
歪む視界に入ったのは、頭から大きな二本の立派な角を生やして、手首には囚人のような手錠、鎖。腰から下げている大きな
極めつけはその手に持っているとても大きい「金棒」
「はぁ〜〜ん…?とんでもねェ妖力を持ってる奴が来たかと思えば…オマエ、“鬼”か」
「仲間と六人目サマがやられてんの見て出ねぇ訳にはいかないんでね」
そう言って彼は金棒を地面に突き立てると、金棒を中心に地面に大きなヒビを入れた。堕天使は表情を歪ませたものの、それを取り逃がさんと言わんばかりに鬼は距離を詰めた。
「ら民町自警団“団長”。酒呑童子のおいよと申します。早速で悪いんですけど__一回、その羽折らせてください」
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黒狐 - …!前の作品も読ませていただいてました!リメイク版してるのみて駆けつけました!リメイク版も面白いですね!同じ作品を2度楽しめてこちらも楽しいです!ありがとうございます!更新応援してます! (4月23日 22時) (レス) @page43 id: fb020f6fb3 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 2.3年前から読ませて頂いていて何度も読み返すほど大好きな作品です!リメイク前の方も読ませて頂いてます!変わった妖怪という世界観だったりする所やストーリー 設定などとても面白くてめちゃくちゃ好きですまたいつか続きが読める事をずっと待っています。失礼しました (7月3日 11時) (レス) id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
ミドロ - なにこれ……か、か…!神作じゃねぇかよぉぉぉぉぉ!!!!更新頑張ってください!!!! (5月30日 13時) (レス) @page14 id: 9d7832c4d1 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - まだ待ってますから、どうか続きを恵んでください (2022年9月11日 17時) (レス) @page14 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 凄い………私もこんなの作って見たいのですか妖怪などが思い浮かばないです……少しだけ真似してもよろしいでしょうか(土下座)続編待っています!! (2022年1月30日 9時) (レス) id: 30ab8735d2 (このIDを非表示/違反報告)
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