19話 法界悋気 ページ20
バイト中……やばいほど眠い
「高原さん、大丈夫? 隈酷いよ」
「え、大丈夫大丈夫 ……大丈夫」
私が少しぼーっとする意識の中でとにかく大丈夫だと伝えたくて、同じ言葉を連呼する
今の子はバイト仲間だ、仲間っていうか、少し後輩? 優しい子だよ
大学生だから、週3くらいの頻度でバイトに現れる
私との違いよね、さすが大学生
「すいませーん」
「はい……あれ?」
私が作業場越しから、呼ばれた方を覗くと見た事あるシルエットがあった
アホ毛が2本でキリッとした眉
「あ、カラ松さ__」
とそこまで言い、私は口を噤んだ
バイトに私情は持ち込んではいけない、と思ったからだ
その間に違う人がカラ松さんの方へ駆けて行った
……カラ松さん、一瞬こっちみた
と思ったけど、また逸らされてしまった
「すいません、お待たせしました」
「あの……これなんですけど__」
などと、最初は堅苦しく話していたけど、だんだん楽しそうに話しているのを見て
少し……ほんの少し『嫌だな』って思った
頬を掻き、ほのかに頬を赤く染める彼を見て
……顔真っ赤だ、そりゃ仕方ないよね、あの人も女性と免疫無いもんな
……好きだとか言ってたのはどの口だ、二股野郎
コロコロ変わる表情を見ていて、私は手が止まっていることに気付き、また動かす
「ありがとうございます」
「いえいえ、また言ってくださいね
ありがとうございました〜」
……見たことない表情だったなぁ
なんて、思いながら黙々と制作を続けた
* * *
「お疲れ様でした〜」
「お疲れ〜また明日も頼むね」
閉店ぎりぎりまで居た
ここの店長さんは結構いい人だ、だから辞めるに辞めれない
“ 店長さんと後輩 ”だけね
そして、頭を下げ家路に着く
カンカンと階段を一段上る度に無機質な音を奏でていく
上りきって体を90度回転させたところで、ドアの前に誰かが座っているのを見つけた
薄暗くてよく分からないが、私の勘が当たっているのならば
「……おそ松さんですか?」
私が声をかけると、その人はスッと立ち上がり私の手を掴んだ
その手は既に冷えており、長い時間待っていたのかと思うと、罪悪感で苛まれた
そして、その人は口を開いた
「……本当におそ松だと思うか?」
と、真剣な感じの声で言った
それに私は
「はい、おそ松さんですよね?」
私はそれに肯定した
少しの間沈黙が流れたが
「よく分かったなぁ!」
と気の抜けるような明るい声が聞こえた
38人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
菜薇秦(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます!趣旨ブレブレですが、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m (2017年5月9日 23時) (レス) id: 5f0809ce12 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 更新楽しみにしてます! (2017年5月9日 22時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
菜薇秦(プロフ) - にんじんさん» はい!めっちゃ楽しみです〜(´∀`) (2017年4月9日 20時) (レス) id: 5f0809ce12 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 二期楽しみですね (2017年4月9日 18時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
菜薇秦(プロフ) - あ ん 二 ンさん» ありがとうございます!その言葉が私の更新の励みになります(^ ^) (2017年3月21日 0時) (レス) id: 5f0809ce12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:菜薇秦 | 作成日時:2017年3月3日 21時