ここはロマンス大通り【ars】 (ページ19)

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■今宵、天の河のほとりでページ19

※はじめに

こちらのお話の主人公は、本編の静香さんです。

そのまま読んで頂くと主人公のお名前は「静香」ですが、櫻井さんにお名前を呼ばれたい！とゆー方は人物設定の14番目にご自身のお名前にして下さいませ。

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新幹線が走って行くのを外から見てる時は

「あー速いなー」って思うのに

自分が新幹線に乗って窓から外を見ると

どうして、そんなに速くは感じないんだろう。

子供の頃からの疑問を、大人になった今

東京から大阪に向かう新幹線の中で車窓を流れる気色を眺めながら、何となく考えてみた。

きっと、早く目的地に到着したいからだ。

早く、早く、って気持ちが新幹線のスピードを遅く感じさせてる...んだと勝手な解釈。

新大阪に着き、駅を歩くと周囲から聞こえる言葉のイントネーションが変わった。

電車を乗り換えて、繁華街に出る。

夕刻迫る街に、ネオンが灯り始めてる。

スマホで地図を確認しながら、私は目的地を目指した。
初めて歩く道は少し不安になるけど、それでは無いドキドキで胸がいっぱいになって来る。

「あ...あった...」

飲食店が何店舗か入ってるビルの3階。
ロマドーにある路面店とは雰囲気が違うけど、そこには『焼肉処桜』の看板。

ふぅぅ...と大きく深呼吸して、よしっ！と心の中で気合いを入れる。

そのお店のドアを開くと、中から「いらっしゃいませー！」と声が聞こえた。

声の持ち主は、溌剌とした元気そうな青年。

「おひとり様ですか？」
「あ、はい。そうなんですけど...」

私が彼にそう応えてる時。

レジから出てきた、スーツ姿のその人は

「いらっしゃ......え...？えぇっ！？」

目をまん丸にして、私の事をベタに二度見した。

「何！？どうした！？」
「どうした...ってゆーか、食事しに来たんだけど...」
「大阪まで！？」
「大阪まで...」
「焼肉食いに！？」

ブハッて笑われて、私もヘラっと笑う。

そんな私達を見てたスタッフの青年が、「翔さんのお知り合いですか？」と2人の顔を見比べながら言った。

「あぁ、東京の店で一緒に働いてた子」
「そうなんですか！桜で！」

はじめましてぇ、って挨拶されて私も頭を下げてると

「加えて、俺の彼女」

翔さんが、サラリと言って

「うわー！ホンマっすかー！？」
「ホンマホンマ」
「えぇなぁ！」
「えぇやろー」

若干変な関西弁で青年に返してるのを、何だかもうクラクラしながら聞く。