Last Scene -9 ページ18
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四月一日。
明日ようやく、私は先生の生徒じゃなくなる。
あなたは、私の先生じゃなくなる。
こんな日にお互いの想いを嘘に隠して伝えようなんて、私たちにはなんてぴったりなことだろう。
「石動A、明日の予定を聞いても」
「…なにもありませんよ、櫻井先生」
「そう……わかったよ」
櫻井先生が笑うから、私も笑う。
それだけ。
今日の私たちに出来るのは、それだけ。
本当は触れたい気持ちも、言葉にして伝えたい愛してるも、全部明日の私に任せることにする。
昨日も、今日も。
私には愚かで放っておけない好きな人がいて。
私なんかを好きだという可哀そうな人がいて。
私を放っておいてくれない幼馴染がいて。
私を祝福してくれる優しい人がいて。
そしてただ見守ってくれるおおらかな人もきっと。
みんな愚かさを抱えて生きている。
上手にそれと付き合いながら、明日の自分をまた作り出す。
上手くいかないかもしれなくても、きっと構いはしない。
そもそも私たちはそういう風にできている。
「さて、ニノにごめんなさいって言いに行こうか」
「ふふ、そうですね」
きっとどこかで何かが違えば。
明日の私はほかの誰かの傍にいたのかもしれない。
そんな日々は少しずつ、やがて通り過ぎて行く。
「ごめんねニノ」
「ごめんなさい、二宮先生」
「なによ、俺はまだあきらめないよ」
明日また、こうして笑えればいいと思う。
「ありがと、ニノ」
「ありがとうございます…二宮先生」
「……二人ともそれ嫌味だろ」
明日というものが変わらずにやってくるというのなら。
―明日のFools― End
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年6月6日 16時
