いちばん星☆【1】〜the first star of evening〜 (Ki)

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「大丈夫ですか？」





『…っはい！すみませんっ…！
ありがとうございます…』





下を向いたまま 小さな声で返事をする




……あ



私の視線に飛び込んできた足元のスーツ




会社員の方かな……








目線だけ上げると 心配そうに私の顔を覗き込んでくるスーツの男の人





…目線が近い







……ちょっと小柄なのかな









そしてその目は




クリっとしてて









まるで小動物








その目にじーっと見つめられて
顔がアツくなってくのを感じた







咄嗟にまたお辞儀をしながら




『あっ…ありがとうございましたっ…！』




それだけ告げて男の人から距離を置いた





背中の向こうから



「あっ…いえ…」




男の人の低く擦れた声が聞こえた








.






……痛っ！








急に痛み出した左足





混んでる車内でそっと下を見ると









…あ




血が出てるじゃん……









今は身動きとれないから





とにかくあと3駅…



我慢だ









次の駅に着いて
またたくさん人が降りて




そしてまたたくさんの人が乗ってきた






…さっきの男の人は……





首を伸ばして辺りを見渡してみたけど…




人の頭だけがたくさん重なって全然分からない









もう降りたのかもな…






とにかく…
助けてくれてありがとうございましたっ…

…小動物くん 笑




なんて思いながら




どんどん痛みを増す左足が
人とぶつからないように




人と人の間のスペースにスッと足を入れて





ようやくホッとして窓の外に目をやると









あ…


…桜……



そう…




季節は春









私は今日から社会人３年目……






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