此処で接吻して頂戴【我妻善逸】

すきよ ページ1

目は口ほどに物を言う。


きっとこのことわざ貴方は知らないんじゃないかしら。

私と一緒にデートしに来て、私より他の女の子を見て。


本当に楽しそうね、目線で分かるのよ。


貴方は知らないでしょうけれど炭治郎さんからよく聞いているの。


禰豆子さんによく求婚しているの。


人様に迷惑をかけるのは良くないって、そうするなら私にして頂戴って。


何度も何度も言っているのに何を恋人だからと遠慮しているの。



こんなの私の甘えたい口実にしかならないでしょうけれどね、私はあなたしか見てないのよ、感じて頂戴よ私の視線を。




「あ、炭治郎だ」



気付いた。


私だって気付いた、分かったの。


だから置いていかないで。


夜のデートなんてね、することなんておしゃべりしかないのにしないで貴方ったら駆けていくのよ。


炭治郎さんを見つけたんじゃ無いんだわ、禰豆子さんを見つけたんだわ。



いくら、いくら私が『体質』だからって放って置かないで。


私マゾヒストなんかじゃ無いわ。



私を見て、見てよ。



恋人同士なんて言う薄っぺらい繋がりなんかじゃ安心できないの。


接吻して、抱き寄せて、私にもっと触れてよ。




ね、私貴方の前で泣いたことなんて無いのよ、ねぇ信憑性あるじゃない、ねぇ。






貴方の裾を掴んで呟いた。





「此処で接吻して頂戴」



「え、でもここ人多いんだよ、どうしちゃったんだよAちゃ…」



「早く！しないと舌を噛み切って死んでやるから！」




どうしてそんな顔をするの。


どうして、私は貴方しか見えていないのに。



私は。

すきよ→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す