すながくれ彼女は顔面６００族の甘々の夢をみるか【キバナ】

ちいちゃな奥さん【kbn】 ページ12

ベッドの上で毛布に包まり、エネコのように細い目で愛おしそうに俺をみるのは。


つい先日、式を挙げ薬指に銀を光らせる俺の女だった。


数カ月前のこと。




あの日、焦った俺はかっこ悪いプロポーズをしてしまった。


彼女の親御さんも来ているというのに、切れた息で、お前をずっと俺の側にいさせたい、なんて臭い言葉を吐いたものだ。




が、カエルの子はカエル。


よく言ったものだ。



彼女も彼女の両親も。


大泣きして俺を抱き締めた。




俺もその日は泣いたし、こんな感じでプロポーズがうまく行くとは思ってもみなかった。



「キバナ…？」



「ん？」


俺を誘うような、少しの眠気と煽情を孕んだ声は優しく鼓膜を揺らす。


敬語も抜けて、よりあざとさが増したA。




煙るような長い睫毛は伏せがちに瞳を覗かせる。


まだ若いモモンの実のような頬は俺をみるとポッと赤くなり、唇の端に笑窪をつくる。



俺が両手を広げれば甘えた彼女が、羽のように飛び込み細い腕を回す。


淡い髪の甘い香りが特別で。


どこか遠くの地方の香水のような香りが、シーツとネグリジェに籠もった甘い体臭とともに汐のようにやってくる。



「シャンプー変えたのか？」



「うん、シンオウの使ってたシャンプー」



抱きこめば俺に向かい合い、笑う。


色が抜けるほど白く、対象的な乾燥とは無縁のぽってりとした紅い唇。


覗く白い歯は果物の粒のようで、思わずキスをする。



どこか甘いリップクリームの味の不快感を覚え、逃げるように口内に舌を非難させる。


優しくがっつかないように。



ふにゃふにゃのつるつるのガキみたいな舌が、犬歯をなぞり、するりと離れた。



「ん、怖いか」




「噛まれそ」





恥ずかしそうにへへ、とはにかみ、即座に泣きそうな顔をする。


見上げ、俺を潤んだ瞳で写す。


そして小さく呟く。



「キバナなら、いいよ…？」



その言葉の意味が“すべて”を許可しているようで。



ああ、どうしてこんな未熟な身体に、一人じゃコントロールできない熱が生まれるのか俺はさっぱりだ。





「オレさまの本気知ったら逃げるくせに」




「ううん、全部受け止めるの」




押し倒して、抵抗のしない身体にキスの雨を降らせる。



好き、や愛してる、の言葉は言わずとも伝わり、ただ優しい深愛の瞳に俺は本能を任せた。



もう一度の深いキスは、長い夜の始まりの鈴の音のようにリップ音を立て、それきりだった。

おおきな旦那さま（生々しさ注意）→←あぶのーまりゅ（かっこいいkbnさんはいません、ご注意）

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