29.図星。 ページ30
******
「…セッちゃん。」
「……。」
「ねぇ、セッちゃんてば〜。」
もう一度声を張って呼び掛けても、楽譜に視線を落としたままぴくりとも反応しない彼。
さっきからずっとこんな感じで、上の空のままスタジオの隅に座り込んでいる。
それ絶対楽譜読んでないよね？
「瀬名先輩は一体どうされたのですか？」
「さぁ〜？俺にも分かんない。」
困惑した様子のスーちゃんと顔を見合わせていると、手鏡を覗いていたナッちゃんが眉を寄せた。
「昼間もそんな感じだったのよォ？
近々あるイベントのことで話があったのに、話が滞っちゃって仕方なかったわよ！」
腰に手を当てて怒る仕草をするナッちゃんを横目に、よいしょと身体を起こす。
「なぁに、ゆうくんと喧嘩でもしたの？」
ゆうくん、という単語で僅かに表情が動いたものの、「違う」とだけぶっきらぼうに返すとまたすぐに押し黙った。
それを聞いたスーちゃんやナッちゃんが、今度こそ分からないという様に首を傾げる。
「…あ、もしかしてA？」
「…ッ！」
「図星かぁ。」
あからさまに動揺する姿を見てそう呟くと、射抜くような殺気が飛んできた。
俺をキッと睨んでから、セッちゃんは力なくため息をつく。
「Aちゃんって、最近よく2人の話に出てた子よね？」
「そうそう、その子〜。
…で、そのAと何かあったの？」
不機嫌そうな青い瞳と視線が一瞬合うものの、すぐに逸らされた。
「別に。」
「…ふ〜ん。」
いやいや絶対何かあるだろ、という顔でナッちゃんがこちらを見てくる。
何かあるんだろうけど、この様子じゃ俺達に言うつもりはないのかもねぇ。
頑なに口を割らないセッちゃんに、俺達は仕方なく諦めて練習を再開した。
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とお(プロフ) - わあぁあぁ好きです…！更新待ってます！ (2022年2月16日 21時) (
レス) id: 89d53c4d30 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 悠希さん» なんと嬉しいお言葉を…！ありがとうございます(;_;) (2021年11月26日 12時) (レス) id: e457bdd78b (このIDを非表示/違反報告)
悠希(プロフ) - やばい瀬名泉がちゃんと瀬名泉してる…！(語彙力) (2021年11月20日 17時) (レス) @page39 id: afd5f610df (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - わー！有難いお言葉をありがとうございます…！めちゃくちゃ嬉しいです頑張ります;; (2021年10月26日 23時) (レス) id: e457bdd78b (このIDを非表示/違反報告)
じゃがいも - うわわわ………!!! 瀬名泉ならこういうこと本当にやりそうで面白いし、恋心に気付く瀬名泉さんの描き方がすごく好きです！応援してます！ (2021年9月6日 6時) (レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：作者 | 作成日時：2020年3月4日 22時
