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渡り廊下へ出たところで、噴水が見えた。
ああ、変わっていない。
やけに視界に馴染んだその光景は、あの頃から何も変わっていなかった。
揺ら揺らと水面に浮かぶ、その姿も。
「……奏汰。」
歩み寄る。
目の前に立って、その潤んだ瞳と目が合えば、衝動的に名前を呼んだ。
「…ひらがなで？」
見開かれた綺麗な翡翠から、ぽろぽろと水滴が落ちる。
いつの間にかその手は俺の服を掴んでいて、胸元に冷たい刺激が伝わってきた。
その頭が、体重が預けられて、抱きしめるように支える。
「とっても、『しんぱい』しました。ぼくに、『こころ』をおしえてくれた『おともだち』がいなくなったら、『かなしい』です。」
珍しく、急き立てるように長文を紡いだ奏汰。
噴水の前に立つ俺に合わせて、水からあがり抱きついてくる様子を見れば、申し訳なさが増す。
せめて、いつ帰るか位は言い残して行くべきだったな。
ぽたぽたと未だに水が滴り落ちる髪を、優しく梳かしつつ撫でる。
しばらく無言だった奏汰は、不意に口を開いた。
「みんなを『しんぱい』させたわるいこは、『おしおき』です。」
…と、不穏な言葉を。
途端に、預けられていた体重に引っ張られて、抱きしめられる形で噴水に落ちる。
視界いっぱいに水飛沫が散って、驚き目を見開いた。
くすくすと笑う奏汰は楽しそうで、彼も苦難を乗り越えてきたのだろうと思うと同時に、安堵する。
「…ああ。甘んじて受け入れる。」
自然と、力の抜けた笑みが浮かんで、二人で笑い合う。
これ以上は風邪を引きそうだと苦笑して、そっと噴水からあがれば、奏汰はまたいっしょに『ぷかぷか』しましょうね〜。と送り出してくれた。
頷き背を向けて、歩き出す。
… 奏汰も 、泣いていたな 。
やっぱりまずかったよなあ 。
改めて後悔しながら、渡り廊下のところまで戻ってくる。さて、次は誰に。
そう思った時に、物凄い勢いで突進してくる何か。
ああ 、否 … 知っていた 。
そろそろだと思っていたよ 、渉 。
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ヨルノウミ(プロフ) - 初めまして､ヨルノウミです｡五奇人の盟友。ｽｺﾞｰｸ面白かったです✨続きが読みたいです❗ (11月19日 18時) (
レス) id: 4f52f8d1d4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃猫(プロフ) - 音琥さん» ありがとうございます。急にいってしまってごめんなさい。これからも作品楽しみにしています (2022年5月9日 0時) (レス) id: 84f0a46658 (このIDを非表示/違反報告)
音琥(プロフ) - 瑠璃猫さん» コメントありがとうございます。 ですが 、今の所 他作者様とのコラボは考えていないので、申し訳ございません。 (2022年5月9日 0時) (レス) id: 7a4629e98d (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃猫(プロフ) - 初めまして。瑠璃猫と申します。合作しませんか？ (2022年5月8日 23時) (レス) id: 84f0a46658 (このIDを非表示/違反報告)
リザ - 初めまして！リザと申します！お話しとても良かったです‼応援しています！ (2021年11月16日 9時) (レス) id: fc7096c073 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音琥
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/jjijwihief/
作成日時：2021年11月15日 16時
