57話【獅子寮の蛇】 ページ8
｢スネイプは四階の方に向かってるよ｣
そう言うハリーを、Aは手を上げて制した。
『何か臭わない？』
ハリーはクンクンと鼻を使うと、今までの人生で一度もかいだことのないような悪臭が鼻をついた。
あまりの酷い悪臭に横のAがハリーにもたれかかってきた。顔は青白く、具合が悪そうだった。
｢まあ仕方ないよ。こいつお嬢様だから…｣
ハリーが困ったようにロンに視線を向けるとロンはやれやれと言った様子で首を横に振った。
音が聞こえた……低いブァーブァーという唸り声、巨大な足を引きずるように歩く音。ロンが指さした……廊下の向こう側、左手からなにか大きいものがこっちに近づいてくる。
三人が物陰に隠れて身を縮めていると、月明かりに照らされたその場所にその大きなものがヌーッと姿を現した。
恐ろしい光景だった。背は四メートルもあり、墓石のような鈍い灰色の肌、大きな岩石のようなずんぐりした巨体に、ハゲた小さな頭がココナッツのようにちょこんと乗っている。
木の幹ほど太く短い脚には、ゴツゴツした平たい足がついている。体中がものすごい悪臭を放っていた。腕が異常に長いので、手にした巨大な棍棒が床を引き摺っている。
トロールはドアの前で立ち止まり、中をじっと見た。長い耳をびくつかせ、中身の無い頭で考えていたが、やがて前屈みになってのろのろと中に入った。
｢鍵穴に鍵が付いたままだ。あいつを閉じ込められる。｣
ハリーが声を殺して言った。
｢名案だ｣ロンの声はビクビクしている。
Aをゆっくりとグリフィンの石像にもたれかからせると、トロールが出てきませんようにと祈りながら、二人は開けっ放しのドアに向かってじりじりと進んだ。Aが何か言っている気がしたが、二人は聞き耳を立てず進んだ。
喉がカラカラだった。最後の一歩は大きくジャンプして、ハリーは鍵をつかみドアをピシャリと閉めて鍵をかけた。
｢やった！｣
勝利に意気揚々、二人がAの方に顔を向けるとAは青白くなっていた顔をさらに真っ青にして立っていた。
『二人とも何してるの。そこは女子用トイレよ！』
そのとき、甲高い、恐怖で立ちすくんだような悲鳴が今しがた鍵をかけたばかりの部屋から聞こえてきた。
｢しまった。｣ロンの顔は｢血みどろ男爵｣ぐらい真っ青だった。
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みゆ - 頑張ってください！続き気になります！！！ (2020年6月11日 11時) (
レス) id: 31b71960cb (このIDを非表示/違反報告)
パン太郎(プロフ) - きょうさん» コメントありがとうございます(*^o^*)最高だなんてもったいないお言葉ありがとうございます！！すごく励みになります！期待に添えられるよう精一杯頑張りますね！ (2020年5月28日 9時) (レス) id: 9960d7b482 (このIDを非表示/違反報告)
パン太郎(プロフ) - ぱあたんさん» コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいです！すごく励みになります！ (2020年5月28日 9時) (レス) id: 9960d7b482 (このIDを非表示/違反報告)
きょう - 最高です！更新楽しみにしています！！ (2020年5月28日 9時) (レス) id: a71b17eda1 (このIDを非表示/違反報告)
ぱあたん(プロフ) - とても面白かったです。これからも応援していますね！ (2020年5月27日 19時) (レス) id: 5f3f43ce15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パン太郎 | 作成日時：2020年5月21日 15時
