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「大した若造共だ」
再び立ち上がるハデスに、私は絶望を抱く。
「このまま片付けてやるのは容易い事だが、楽しませもらった礼をせねばな……悪魔の眼、開眼!!!」
ハデスの増幅し続ける魔力。
(ナツは瀕死、他の皆も恐怖で動けそうにない……こんな……どうしたら……)
「ここからは魔道の深淵。うぬらの創造を遥かに超える領域……終わりだ、妖精の尻尾」
身体の芯にまで届く絶望に、私は戦慄した。
無意識に震え始める私の手を、ラクサスがぎゅっと握り締めた。
まるで、身体に染み付いた恐怖をラクサスの手が吸い取ってくれたかの様に私は冷静さを取り戻す。
(!……また、忘れる所だった。私達を信じて待っている愛する者達がいるというのに、私は……!)
「魔の道を進むとは深き闇の底に沈むという事。その先に見つけたるや、深淵に輝く“一なる魔法”。今宵私はいよいよ手に入れるのだ、“一なる魔法”を」
それは……“一なる魔法”は……
スペリオーネが手に入れた真実……!
深淵などでは無い、それは真実の愛を知れば誰もが使える、と。
「お前には一生無理だよ……お前如きが、スペリオーネの、母の言葉を穢すな!!」
私は酷く憤り、叫ぶ。
空気がびりびりと震え、風が吹き荒れる。
「こやつ……私から魔力を……いや、空気中からも魔力を吸っているというのか!!?」
「……ドラゴンフォース、解放」
辺りが、一閃する。
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作者名:緋蝶 | 作成日時:2017年12月9日 23時