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その瞬間、ラクサスがナツに魔力を託したのを私は見逃さなかった。
それにより、帯電したナツがゆらりと立ち上がる。
「何で……俺に」
「傷付けられたのは誰だ?ギルドの紋章を刻んだ奴がやらねえでどうする?ギルドが受けた痛みはギルドが返せ……100倍でな」
雷を帯びた炎がナツの全身を包んだ。
「ああ。雷炎竜……100倍返しだ」
叫んだナツがハデスに突っ込む。
雷の速さと炎の威力。
「全く……敵わないなぁ、ナツには」
ふ、と口元を緩め、戦うナツを見る。
「俺達のギルドを傷付けやがって、お前は……消えろォ!!」
ナツの快進撃が続く。
「雷炎竜の……咆哮!!!」
ナツの咆哮の反動で辺りが光に満ち、衝撃波が届く。
私は咄嗟に倒れているラクサスの傍に向かう。
「馬鹿……どんだけ心配かけたか分かってんの?」
「血塗れでよく言う……」
私達は2人小さく微笑んだ。
ハデスがナツの咆哮に一直線、飛ばされる。
全魔力を使ったナツの身体が陥没した穴の中に落ちかける。
その手をルーシィが繋ぎ止める。
ハデスを、倒した……のか。
「ふぅ、やれやれだね……」
私達の間に安堵した空気が流れたその時だった。
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作者名:緋蝶 | 作成日時:2017年12月9日 23時