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「……悪いがこいつは俺のモンだ」
後ろから声がして、私はラクサスの方ににぐんっと引き寄せられた。
ラクサスの周りに女の影は無い。
その代わりにさっきの女達の香水の匂いが移っていた。
「!……へぇ、ラクサスさんの彼女だったのか。けど俺も好きになっちゃったし」
そう言ってスティングは悪びれる事も無く私の手の甲に軽くキスをした。
ラクサスはそれを見て私の手を引き、ずんずん歩いていく。
「あっ、ちょっと!ラクサス!?……スティング、ゴメンね……!」
そのまま私はバルコニーに連れていかれて、どこか雰囲気の違うラクサスに気圧されて後ずさりをする。
バルコニーの柵に背中が当たり、私はもう逃げられない事を悟る。
「……何他の男に狙われてんだ」
「……何他の女にベタベタされてんの」
バチバチと私達の目線が火花を散らす。
「それは……焼きもちか」
伸びてきたラクサスの手をパシッと払った。
「うっさい!香水臭い!近寄るな馬鹿!」
「……さっきの女達か。あれは勝手に寄ってきたから別に相手にしていない」
「だからー、それが嫌つってんの!その……ラクサスの匂い香水に消されちゃったし……」
バツが悪くなって目をそらしながら言うと、ラクサスが一瞬雷を纏う。
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作者名:緋蝶 | 作成日時:2017年12月9日 23時