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私の魔法で随分ジルコニスは深手を負ったらしい。
と、その時だった。
ジルコニスの身体が光り始めたのだ。
「何だこれは……」
「ドラゴンが……」
「消えてく!?」
「ぬおおお……人間如きが!!」
ジルコニスの鉤爪が最後の抵抗だと言うかの様にラクサスを襲う。
「ごめんなさい」
後ろからそう言ってジルコニスに歩み寄ってくるのは、フィオーレ王女であるヒスイ姫だった。
「危ないですよ!」
ウェンディやアルカディオスの制止を振り切り、ジルコニスの前に立つヒスイ姫。
「貴方達の時の流れを歪めてしまったのは私なのです……私の名は貴方の体と同じ、翡翠色です。翡翠の竜よ」
ジルコニスは顎に手を当てて頷く。
「翡翠の竜、悪くない名前だな……ん?うわっ、ちょっと待て、俺は……」
そうしてクロッカスのドラゴン達と未来ローグは、扉の破壊と共に消えた。
……終わった、のだ。
一息ついた私はドラゴンフォースを解く。
途端に私は魔力の消耗に膝をつく。
「大丈夫か……!?」
ラクサスの声に私は頷く。
(繋いだよ……青龍、白虎、朱雀、玄武。想いを……明日を……未来を)
今はもう無い鍵が付いていた腕輪を握りしめ、私は亡き四神に想いを馳せた。
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作者名:緋蝶 | 作成日時:2017年12月9日 23時