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そして、ルーシィとユキノの十二門の星霊の力もあり、扉は完全に閉じられた。
……青龍に、名前で呼ばれたのは初めてだった。
ふと四門の鍵が付いていた腕輪を見るが、そこにはもう鍵なんか無くて。
それはこの世界から4体が消えた事を如実に表していた。
そんな真実を突き付けられ、私は軋む心に手を当てる。
「あぁ……うっ……く……。ああ、うぁああ!!」
悲痛な私の慟哭が、ドラゴンの叫びを切り裂いて辺りに響く。
ポロポロと溢れる涙は止まる事は無くて。
「嘘でしょ……戻ってきてよ、ついこの前これからも仕えさせてって誓ってくれたじゃん!友達じゃなくてもいいから……戻って、きてよ……」
限界、だった。
天狼島でスぺリオーネが消えて。
小さい頃から一緒に生きてきた四神達が消えて。
“私達の想いを……繋いでくれ”
何度も頭の中で響く青龍の最後の言葉。
(そうだ……もう何も失わないように……私は戦う)
「ははは……美味そうな人間共だ」
ジルコニス。
そう呼ばれたドラゴンを見据えて私は立ち上がる。
「青龍達がくれた想いを無駄にはさせない……さあ、始めよう」
私は涙を流しながら立ち上がり、拳に銀の光を纏わせた。
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作者名:緋蝶 | 作成日時:2017年12月9日 23時