イグニハイドの美人くん｡【ツイステ／男主】

＊３７ ページ39

＊


＿＿＿＿＿数時間後



コロシアムは重々しい空気が流れ、異様なほどの砂埃が舞う。



あんなにも清々しいほどの晴天だった空は、黒く濁っていた。



＿＿残念ながら悪い予感がしたのは、気のせいではなかったらしい。



( ………一体何がどうなっているのか )



サイドストリートは思ったより人が多かったので、人混みを避けて誰もいない学園の裏庭でゆっくりとしていた。



もう少しで本番ということで、そろそろコロシアムへ行こうと憂鬱な気分のまま足を運ぼうとした時だった。



遠くからバタバタと大勢の足音のようなものが聞こえ、不審に思って箒に乗って上から確認すれば.....沢山の、いやもうその場にいた全員と言えよう、人々が同じ方向に向かって走り出していたのだ。



『 .....なんだ、これは 』



まるで行進するかの如く動く観客達。



( .....まさか、あの時の )



この異様な光景に驚きつつも、ふと数日前の記憶が蘇る。



エースさん達と一緒にブッチさんを追いかけた事。その時に聞いた、サバナクロー寮が優勝候補のディアソムニア寮を負かす為、他寮の有力選手に怪我を負わせたという話。



その話とこの異様な光景は、なにか関係があるのだろうか。



なんだか厄介な事に巻き込まれそうで、さらに憂鬱さが増した。



( .....関わりたくないが.....どの道コロシアムには行かなくてはならないんだ、仕方がない..... )



先程から胸騒ぎがおさまらない。



どうか目立たずに、何事もなく終わりますように。



小さくため息をついて箒に乗ったままコロシアムへ向かった。



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿




そして今に至る。



何人かの生徒と、その中心には真っ黒なオーラを放ちながら嘆くように唸る＿＿＿＿何か。



よく見てみれば、あれは確か.......。



( .....レオナ・キングスカラーさん、だったか。サバナクロー寮寮長の )



とても怠そうにしていた獣人の男性。心做しか他の生徒よりも年上のように見えたので覚えている。



あの寮長会議で初めて顔を知り、その日から今まで会話をした事がなかったので接点はない。



なのでどういう経緯で、なぜ彼があんな苦悶の表情を浮かべているのかも分からない。



しかし.....一つだけ分かったことがある。



( .....体がビリビリと危険を感じとっている。これは )



＿＿＿＿＿彼が、オーバーブロッド寸前だということを。



＊

＊３８→←＊３６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す