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大丈夫、大丈夫、大丈夫。もっとすごい大舞台は何度も経験してきたじゃないか。
Aside
金平糖の精の踊り。
ロシアの有名な作曲家、チャイコフスキーが作曲したバレエの名作「くるみ割り人形」の第二章に出てくる1曲だ。
チェレスタ(という鍵盤楽器)の神秘的で華やかな音色と耳に残る不思議なメロディ。クリスマスの夜、おとぎの国にやってきた女の子を歓迎する砂糖菓子の妖精の踊り。
本来は女性のためのヴァリエーション(ソロで踊るパート)だから、腕は女性的に曲線を描くけれど、脚は5番からのパドブレ(移動)が多く、ピケ(つま先で床を指すように)で立つなどのはっきりした動きが多いのが特徴だ。
もちろん、地味な男が、演じる曲ではない。
金平糖の精は妖精でもあり女王でもあるため、柔らかく踊ったり、気品あふれる気高い雰囲気であったり、愛らしさや軽やかさ…どれも普段のAともアーティストのAともかけ離れた存在である。
観客全員が呆れて静まり返っているのではないかと思うほど、イヤモニからは不思議なメロディだけが聞こえる。
暗転からピンスポを浴び、時間にすればたった1分ほどのソロ。爪の先端まで集中を注いで、曲線を描く。これから楽しいことが始まるという歓迎の舞いであると共に、本来のテーマとはイレギュラーな存在。表情は常に…
貼り付けたような笑顔を。
登場の軽やかなステップから一転して終盤はラスト5秒、目まぐるしいピケ・ピルエット。遠心力が落ちるから顔は残さず、視線は高く高く遠くを眺めるように回り続ける。裸足で触れるステージは冷たい。なのにつま先が擦れて、燃えそうだ。
静止の瞬間、両手を大きく広げ、脚を交差させる。深いお辞儀の後、ようやく歓声が聞こえた。背中を伝う汗が吸収性のないシャツと喧嘩をしているのに、こんなにも清々しい。
そして空に響く拍手の間から、ピアノの音色が響き始める。
同時に、ステージ脇から歩いて登場したのはオニュヒョンだった。
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うさみみ(プロフ) - えみ様はじめまして♪続きはまだですか?もっと読みたいです (2018年9月2日 1時) (レス) id: 1190039706 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - セティ様 はじめまして。このような文章に感想を頂き、本当に嬉しく、そして励みになります。なかなか更新出来ませんが、完結を目指して投稿致します。お付き合い頂けましたら幸いです。 (2018年3月13日 16時) (レス) id: 9d750210cd (このIDを非表示/違反報告)
セティ(プロフ) - えみ様、はじめまして。SHINeeの男主人公の物語楽しみにしております。今後、どうなるのかワクワクしております。 (2018年3月2日 0時) (レス) id: 679e7bc534 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えみ | 作成日時:2018年2月19日 17時