･ ページ11
「ヤ、見ない顔ですね、新人ですか？」
想像していたよりも、生活感のあるビルに踏み込むとくすんだ赤色の合皮のソファ。背面の縫い目には破れがあり、あまり丁寧に扱われていないようだった。
玄関ホールに立ち入った時、1人の男の子に声を掛けられた。年頃は同じか、でもすごく垢抜けていてかっこいい。
「はい、今日から宿舎生活をします、イ・ジンギです。」
「はじめまして、キム・ジョンヒョンです。…って、同い年くらいかな。何年生？」
「89年です」
「ヤー、俺の方が年下でした。ごめんなさい。90年です。」
「いいですよ、ここではあなたが先輩なので」
髪の毛はところどころ金色のメッシュが入り、背こそ低そうだけど、随分なオーラがある。さすが、SMEの練習生だ。それに引き換え僕と言えば…
「クマ、可愛いですね」
クマのイラストがプリントされたトレーナー…ダサいって思われただろう。
「えーっと、部屋割りは管理人さんに聞けばわかります。シャワールームは2階、2つあるけど順番はホワイトボードに書いた名前順。使えるのは夜中の1時までだから絶対入りたい時はレッスンビルで浴びてきた方がいいです。クサイの嫌だったら。朝と夜は一階の食堂で、ダイエットメニューしか出ないけど無いよりはマシ。」
「…はあ」
スラスラと施設のルールを説明し出したジョンヒョンに圧倒される。ごめんね、チャラそうな見た目だと思ったけど、すごく親切なやつみたいだ。
「それから、１週間くらい前に日本人の子も入ってきました。全く韓国語が伝わらないから、俺、困ってるんだけど…ジンギさん日本語出来る？」
「いえ…できないです。ここは外国の子も、たくさんいるんですか？」
「多少ね。でも、気を付けた方がいいです。外国人は嫌われてるから、変なことに巻き込まれたくなければあんまり関わらない方がいい。そんなことしてる時間、忙しくてないし。」
嫌われてる？
ジョンヒョンは淡々と教えてくれたのだけど、とても、苦しそうに、表情を曇らせた。それが何を意味しているのか、ぼくにはまだ分からなかったけど。
きっと、すぐにわかることなのだと思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさみみ(プロフ) - えみ様はじめまして♪続きはまだですか？もっと読みたいです (2018年9月2日 1時) (
レス) id: 1190039706 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - セティ様 はじめまして。このような文章に感想を頂き、本当に嬉しく、そして励みになります。なかなか更新出来ませんが、完結を目指して投稿致します。お付き合い頂けましたら幸いです。 (2018年3月13日 16時) (レス) id: 9d750210cd (このIDを非表示/違反報告)
セティ(プロフ) - えみ様、はじめまして。SHINeeの男主人公の物語楽しみにしております。今後、どうなるのかワクワクしております。 (2018年3月2日 0時) (レス) id: 679e7bc534 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えみ | 作成日時：2018年2月19日 17時
