私は彼のために。【歌い手×あんスタ】

じゅうはちわ。 ページ19

凛月side

今日はなぜか、眠くなかった。
きっと今朝のみんなの言い合いが原因だ。
細かく言えば、転校生が原因だ。

とても冷たくて、棘があった。
わたしにかかわるな、近寄るな。
俺達も同じようなことを言っていたけど、それ以上だ。
俺たちはあんずに危害が及ばなくするためにしてる。
けど、あいつはなに？

あいつの言葉をそのまま受け止めるならあんずの件は安心。
……まぁ、あいつの言葉なんて信用しないんだけど…。

授業中ずっと転校生を観察していた。
退屈そうにスマホをいじってるかと思えば、あいつはふにゃりと笑ったのだ。

【可愛い】

一瞬そんな言葉が過ぎった。急いでなかったことにして、また深く考え始めた。

あんなに冷たく俺たちを突き放したあいつが笑ってる。なにで？何をあいつが笑わせたのか。
コーギーの言葉に一切ひるまず、表情1つ変えなかったあいつが柔らかく優しく微笑んでる。

気になる気になる気になる。


無意識に、俺の転校生に対する気持ちが敵意から好奇心へと変わっていた。

気づけば昼休み。
みんなお昼を食べるために各々が動き出す。
しかし、転校生は席から立とうとも、弁当を出す素振りもない。

一瞬なにか考え込んだかと思えば、次の時にはスマホを取り出し、授業中のようにいじりだす。

え、お昼は……？？

関わりたくないけど、気になってしまった以上話しかけずにはいられない。

声をかけようとした時、すごい勢いでクラスのドアが開いた。

あ｢あの…転校生さんいますか！！｣

俺が今話しかけようとしたのに…………

凛｢(邪魔しないでよね……)｣

『……なに？』

あ｢あの！お、お昼一緒に食べませんか？｣

…あんずも今までの転校生のこともあり、少し怯えながら話す。
そんなあんずを気にもせず、相も変わらず冷たく言い放つ転校生。

『別にいい。』

ス｢はぁ！？お昼くらいいいじゃん！！ケチ！！まあいいって言っても行かせないけど！｣

『じゃあ文句言わないでよ。私別に食べなくてもへーきだから、結構です。さようなら。』

そう言って席を立つ転校生。

あ｢食べなくてへーきって……食べなきゃ…！健康によくないよ……｣

あんずは優しいな、そんな言葉が周りから飛び交う。
同時にお昼くらいいいじゃないかという、転校生への非難の声も飛び交う。

『はっきり言わないとわかんない？あなたと馴れ合う気ないから言ってんだけど。』

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